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企画したイベントや、行ったライブのレポなどが書かれていると思います。

20180602 頭士奈生樹「IV」発売記念ライブ( 頭士奈生樹 with 渚にて、山本精一) / 難波ベアーズ

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頭士奈生樹さんのソロアルバム「Ⅳ」の発売を記念してのイベントに行ってきました。頭士奈生樹with渚にて、ゲストに山本精一さんということであれば、行かない以外の選択肢はありません。

 

同じ気持ちのお客さんが多数いたので、開場時間の20分ほど前に着いたのですが、入り口階段は開場待ちの人でいっぱいでした。徐々にお客さんも増えてきて、会場前ではスペースが無くなってきたので、ちょっとだけ早めに開場してました。結局、100人近い動員で、大入り満員となったみたいです。そんな状況もあってか、ベアーズにしては比較的早めな5分押しくらいで始まりました。

 

 

山本精一

昨日の狂った演奏とは違って、この日はアンビエントなアプローチのソロギターでした。まずは、少し籠ったような音像の美しいギターの音色が紡がれ、徐々にギターの低音が場内を満たしていきながら若干ノイジーな音も出てきたり。真っ白なキャンバスに色を塗り足していくような演奏だったように思いました。その後、後半に向かうにつれて、キラキラ輝くような音のフレーズが姿を現し、心が綺麗に満たされ、地中のマグマを思わせる大音量のノイズがすべてを洗い流し、約30分の演奏は終わりました。展開やストーリーがある、素晴らしい演奏でした。

 

 

頭士奈生樹with渚にて

まずは、頭士さんひとりでの演奏から。ところどころループなんかも使いながら紡がれているギターの音は、自分の感情の中に直接響いてくる感覚がありました。ソロでの演奏は、音量もそれほど大きくなく、自分の内面と向き合うようなものだったように思います。ステージから聴こえてくるひとつひとつの音に意識を集中して、感情の動きとシンクロさせていったりしてました。

 

30分ほどソロで演奏された後、渚にてのメンバーを呼んでバンドスタイルでの演奏でした。渚にてのメンバーが、曲のベースをしっかり組み上げながら、いつまでも続いて欲しい頭士さんのギターが満員の会場を満たしていく。核になる部分は変わらず、バンドスタイルの演奏だからか、世界が開けたような感覚があり、大音量のサウンドに身体と心で反応する感じ。シンプルで力強い、これしかない演奏でした。

 

また、曲の構成も素晴らしくて、ちょっとずつアップテンポになって音に清々しい熱量を帯びていく感じが最高でした。頭士さんのボーカルに、柴山さんがコーラスで被せた瞬間の感激も最高だった。そして、本編最後の爆音のノイズパートの素晴らしさと言ったら。ザラザラしたノイズから、次第に曇りのない美しいキーボードの音が混じっていく流れ。あまりに美し過ぎて、音楽の桃源郷に辿り着いてしまったような気がしました。「このまま死んだら、さぞ安らかに逝けるだろうな」とか思ってしまう程に。

 

そして、アンコールにも応えてくれました。ダブルアンコールを求める拍手も鳴り止むことはなかったのですが、さすがにこれは無しでした。

 

こんな風に書き連ねてはみたけど、言葉にならないほど素晴らしいライブでした。このメンバーでの頭士さんのレコ発東京を10月にやるみたいです。スケジュール調整中らしいので、情報が出たら行ってみたら良いのかなと思います。絶対に世界が開けると思うので。

20180601 テイムダール×吉田達也×山本精一、吉田達也×宮本玲 / 京都 外

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平日だから、ちょっと悩んでいたんですが、月初だし大丈夫だろうと予約してみました。結果的には大正解でございました。

 

開場時間を少し過ぎた頃に会場へ。既に10人近くの人が並んでいてびっくりしたりでした。中へ入り、少しあった椅子席2列目に座って開演を待ってました。徐々にお客さんが増えていって、そこそこ埋まっていた感じだったかな。

 

10分遅れくらいで開演となり、吉田さんから本日の流れが説明されました。まずは「吉田達也×宮本玲」、次は「テイムダール×吉田達也」、最後は「テイムダール×吉田達也×山本精一」という3部構成とのこと。説明からそのまま演奏へと流れていきました。

 

 

吉田達也×宮本玲

吉田さん(Dr)とVampilliaの宮本さん(Vl)で是巨人の曲を演奏してました。宮本さんは何度か是巨人のライブにゲスト参加されていたことがあって、演奏力などに申し分ないはずですが、デュオということでちょっと不安があったり。でも、そんな不安は一切無駄でした。

 

アホみたいなユニゾンパートというところは、要所要所でループを上手く使うことで結構カバーできていて、ヴァイオリンの旋律で思いの他ポップなメロディーがくっきりと聴こえてきて、是巨人の楽曲を違った角度から見ることができて、面白かったです。

 

手数が多く、切り裂くような吉田さんのドラムと、美しくも力強い宮本さんのヴァイオリン。この演奏だけでも来て正解と思えるものでした。演奏時間が20分くらいと短かったことだけが少し残念ではありました。

 

 

テイムダール×吉田達也

第2部.デュオでほぼ曲をやるとのことで、RuinsやChild Abuseの楽曲などが演奏されたのかな。

 

テイムさんはフレットレスベースに大量のエフェクター繋いで、ありえないレベルのヤバい音を出しまくってました。こちらの演奏は、先ほどの爽やかさもあったものとは全く別のハードコア全開の爆音超テクの爆裂サウンド。あえて例えるなら、Lightning Boltっぽい音だった感じです。

 

むちゃくちゃ複雑怪奇なハードコアサウンドの洪水を浴びさせられ、あまりの凄さに椅子から転げ落ちそうになることが何度も。そして、凄過ぎて思わず爆笑してしまったりでした。恐ろしい手数の吉田さんのドラム。それに全然負けない手数たっぷりのゴリゴリベースと、フレットレス独特の音がにゅっと上がっていくところが快感だった。こちらも20分くらいの演奏でした。もうちょっと聴きたかったな。

 

めちゃくちゃ好きなタイプのベースで、音源買いたかったけど、CD持ってくるの忘れたらしくて、買えずに残念でした。

 

 

テイムダール×吉田達也×山本精一

第3部は山本精一さんも加わってのトリオ。完全即興だったと思います。山本さんは、セッティング中に出してたギターの音がヤバい感じだったんですが、淡々と準備してた。

 

セッティングも終わり、一旦ハケてすぐに3人で出てきました。そしたら、山本さんのテンションがぶっ壊れてました。いきなり叫んだり、すっごいヘラヘラ笑いながら客席見てたり、フィンガーイーズの缶を投げつけたりと、お客に危害を加えそうモードでした。その様子を見て「出ましたね」と笑ってる吉田さんも怖いわ。

 

そんなテンションで始まった演奏がつまらない訳はなく、いきなりテンションMAXなぶっ壊れたロックサウンド全開で最高でした。アンコール込みで50分くらい。4パートくらいの即興演奏だったかな。多くの場面で山本さんが暴走していて、それをあとの2人が乗っかりながらさらに暴走させていくような演奏でした。アンサンブルが溶け合うようなものではなく、それぞれの音がガチガチにぶつかり合うことで、結果的に気持ちよく聴こえて成立する、そんな演奏だったように思いました。

 

本当は3パートくらいで終わりにする予定だったと思うんですが、曲が終わって様子を伺いだしたところで、山本さんが演奏を始めてそのまま即興へなだれ込む嬉しい誤算があったり。アンコールでは、270度くらい回転して、あらぬテンションとなっていた山本さんは、椅子から立ち上がって、ギターを振り下ろしながらいつまでも終わらないキメを連発していたり。

 

しかし、本当に凄い演奏でした。3人という人数と、この組み合わせだからできた演奏だったとはっきり感じる素晴らしいものでした。即興演奏は、人数が増え過ぎると、互いの距離感が狭まったり、遠慮が出てつまらなくなると思っています。3人までだと各々のプレイヤーが自由にできる幅もあって、それに乗ったり、違うアプローチでつついたり、そのときのテンションや演者の音楽性がアンサンブルに現れやすかったりと演奏が生きるんですよね。今回は、まさにそんな演奏だったように思いました。混沌の中にも幅広い音楽の片鱗が見え隠れしていて。そして、山本さんのあの暴走をサラッと演奏として成立させることができる吉田さんとテイムさんにも脱帽な夜でした。あんなん、その辺のプレイヤーだったら裸足で逃げ出すやろう。

 

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テイムさんが参加されてるバンドかな

 

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で、外は本当にいいハコだなと思ったりです。音の良さはもちろん、演奏中に写真撮りまくるような人もいないし、いつも「音楽を聴きにきている」お客さんが集まっている印象があります。やってるイベントも面白いし。ちょっと遠いのがネックですが。

 

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ライブの後は、みみおで中華そば食べて、ちょっと酔いも進みながら、週末の疲れを連れて爆睡することができました。

20180526 NOISE MAY-DAY2018(GRIM、Controlled Death) /難波ベアーズ

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なんだかんだで10年以上ほぼ毎年行っている難波ベアーズの恒例企画「NOISE MAY-DAY」。5月は、土曜が出勤になる日があったり、MDTと被ることがあったりで、たまに行けないんだけど、今年は無事行くことができました。

 

今年のメンツは、主催である山崎マゾさんの新ソロプロジェクト「Controlled Death」と80年代の伝説のノイズバンド「GRIM」の2組。ヤバいことになるのは予想できますが、「ヤバそうだな〜」以上のことは分からずに会場へ。

 

気持ち早めに向かったんだけど、けっこうな数のお客さん。自分が着いたときには前方半分は埋まっていたかな。そのまま徐々にお客さんが増えていって、開演のときには、ほぼ満員でした。

 

Controlled Death

ステージ後方のスクリーンには赤ベースに黒文字でロゴが、ステージのいたるところで蝋燭の形をした照明が置かれていて、独特の緊張感と不穏な空気がありました。

 

ステージの様子があんまり見えなくてよく分からなかったんだけど、多分サンプラーかな。砂嵐みたいな電子音に断末魔みたいなノイズ、そこにマゾさんのヴォイスが乗っかる感じでした。ノイズとは書いたけど、よくある「ノイズ」とは一線を画したものでした。何と言うか、宗教チックでホラーな感じ。実際、音を聴きながらずっと荒れた廃墟や拷問所、そこで処刑される人や死体の絵がずっと頭の中に浮かんでいました。そんな映像を浮かべながら、ときおりふいにやってくる異常な音量で襲ってくる高周波のノイズ音。耳を突き抜けて、三半規管に直接突き刺さってきて倒れるかと思った。何人ものお客さんが耳を塞いでいたのが印象的でした。

 

MASONNAのようなロックで瞬発力あるものとは違った、深い絶望の底にあるようなステージは、今のマゾさんだからこそ表現できるものなのかなと思った時間でした。本当に凄かった…。

 

 

GRIM

敢えて事前に動画や音源で知ることを止めて、完全初見の気持ちで観てみました。

 

サンプラーで流しているのか、パイプオルガンの神聖な響きから徐々に地獄のようなノイズギターのサウンドへ。太鼓(ドラム)の音がリズムを紡ぐことで、ヤバめな集まりのお祭りみたいな雰囲気になってました。んで、後ろの方からチャラチャラと音が聞こえてくるから見てみたら、ボーカルの方が鈴が中に入ったアルミ缶をお客さんに配りながら出てきました。そこから、鈴の音、メタルパーカッションの硬いリズム、ギターのノイズが会場内で響き渡り、お祭りの雰囲気でした。パーカッションの音があるせいか、けっこうリズムに乗れたのも面白いところでした。

 

出てる音は地獄だったんだけど、お客さんも鈴を振りながら演奏に参加していて、ノイズライブではないような不思議な一体感が生まれてました。終わってみると、何とも言えない高揚感と楽しさがあって面白かったです。

 

 

という感じのNOISE MAY-DAY。毎年面白いミュージシャンを知れたり、新しい発見があったりで楽しいです。また来年も行けるように願ってます!

20180520 割礼、ヰタ・セクスアリス、tepPohseen /難波ベアーズ

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ベアーズで割礼のライブがある。対バンは、ずっと観たかった福岡のtepPohseen。須原さんがされてて、これまた観たかったけどタイミングなかったヰタ・セクスアリスと申し分ないものだったので、行く以外の選択肢がありませんでした。繁忙期で身体はボロボロだったけど、行く以外なかったです。

 

事前にオンタムで始まる旨の告知があったので、気持ち早めに会場へ。相も変わらずあんまり人はいませんでした。でも、ちょっとずつお客さんは増えていって開演時間には沢山の人で埋まってました。

 

tepPohseen

ずっと名前は知ってて気になっているバンドのひとつでした。志賀さんがドラムで入ってて、埋火のライブ以来観るので、そこも楽しみのひとつでした。

 

1曲目のインスト曲から一気に持っていかれました。退廃的で物悲しくてとても危ういメロディーに深いリヴァーブかかったヤバめなギターの音が好き過ぎました。次の曲からはボーカルもあったんですが、素っ頓狂な声と歌い方が、バンドサウンドの危うさを一層際立たせていました。その後の曲も、4つ打ちでキャッチーなもの(志賀さんメインボーカルでとても良い声)や、クリーンなギターが優しいものなど、バリエーションもしっかりありながら、全体に漂う不穏な感覚や危うさはとても癖になる。気持ち長めな40分くらいのステージでした。

 

MCはゆるゆるだったのも良かったです。帰りにCD買ってしまいました。また観たいなー!

 

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ヰタ・セクスアリス

メンバーの衣装の感じで、サウンドが大体イメージできる。艶っぽいキーボードの音とと、ときにファズファズしたギターとグルーヴィーなリズム。とても聴きやすいんだけど、ちょっと感じる違和感。「あの時代の空気はこんなのだったのかな?」と思いながらも、今のバンドとして存在していることが何だか嬉しい。そんな演奏でした。

 

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割礼

この日は90分のロングセットでした。最初の音で、割礼のそれだと分かる。シンプルなんだけど、ねっとりとした割礼の音。宍戸さんのボーカルが入ると、さらにねっとりとして、音楽を愛撫しているみたいだった。ギターやベース、ドラムが楽器を愛でるような感じで音を出している気がして、そんな風に見えるから、そこら辺のバンドでは絶対出ないような色気があるんだろうなと思ったりです。スローなテンポで紡がれる音に身を任せているときに感じる陶酔感。これが本当に気持ち良くて、本編最後の曲の無限にも聴こえたギターソロで完全に昇天してしまいました。何度も落ちそうになったり「永遠に続けこの時間」と思えるくらいの恍惚とした時間でした。

 

ロングセットじゃないと、この境地まで上り詰めることはできないと思うから、本当にありがたかったです。

 

 

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ライブが終わったら、完全に生気抜かれた状態になってました。それぞれのバンドがそれぞれ面白くて良くて、身体は疲れていたけど、心地よい疲れに変わっていました。

20180513 内橋和久 / 大阪音凪

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この日は、アルタードステイツやUAのプロデューサーとしても知られる内橋和久さんのソロライブに行ってきました。

久しぶりに観たいなと思いながら、内橋さんのサイトを見てみると、大阪でのソロがあったので、ポンと予約したのです。

 

当日はあいにくの雨模様でしたが、アーケードのある天神橋商店街を抜けて会場へ。開場時間を少し過ぎ、お店に入りました。とても小さな店なので、どの座席にいくかは非常に悩ましい。今回は内橋さんのライブが久しぶりということもあって、前でかぶりついて観ることにしてみました。通路の一部にギターと機材、ダクソフォンが置かれていました。

 

開演時間の30分程前に外に出てた内橋さんが戻ってきて、常連さんと思われる方と談笑してた。そんで、オンタイムでスタートとなりました。今回のライブは、大きく2部構成でした。

 

第1部

アンビエントテイストな深く美しいフィードバックから、ギターで紡がれた少し奇妙なリズムへと変化していきます。個人的には、深い夜の森の中にいるような、深夜の機械工場にいるような…不思議な映像が浮かんでくるものでした。そこからちょっとだけノイズパートを挟んで、ダクソフォンを加えていく。打楽器的に扱ってリズムを作り、その後に動物の鳴き声みたいな展開から徐々にギターが浮かび上がってくる様な展開へ。ギターと言ってもシンセみたいな電子音成分多めでした。そして、最後は「ギターらしい」クリーントーンで終わり。約45分くらいの演奏でした。

 

 

第2部

15分くらいの休憩を挟んでからの第2部はダクソフォンソロからスタート。人の声みたいな音でベースを作りながら、ダクソフォンを叩いて太鼓チックな音を重ね、弓を使って弦楽器のようなアプローチも。この辺は、原住民集落の夜みたいな映像が浮かんでました。約10分の演奏。

 

次のダクソフォンソロは、打楽器的なアプローチ強めで、ノリが良くて、宴のような雰囲気がありました。15分くらいだったかな。最後は少し楽しげな感じだった気がします。前半は静かだったんですが、ダクソフォンのリズムを残しながら後半に向かうにつれてギターへシフトしていって、最後はコズミックなギターサウンドが自分の身体を貫き、第1部の始めのような展開にて終了となりました。20分くらいの演奏だったか。

 

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通しでは約2時間のステージ。本当に凄かったです。使った楽器はギターとダクソフォンとエフェクター。たった1人でこんなに鮮やかで色んな音像を見せてくれるのかと唖然としてしまうくらい。ギターなんて、ギターっぽいアプローチもあったけど「それ本当にギターで出してるの?」って言いたくなるような音も飛び出しまくり。それでいて、最初から最後まで聴きやすく退屈にならなく、世界観がしっかりある演奏に脱帽でした。

 

帰り道でボーッと「内橋さんは音楽家なんやなー」と思ったりです。「この人はどんな楽器使っても(むしろ楽器じゃなくても)観客を惹き込む音楽を生み出すことができるよな」と、物販で買ったダクソフォンソロのCD見ながらしみじみ思ったのでした。

 

20180505 「二人会」(山本精一、見汐麻衣) /阿佐ヶ谷Roji

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MDTでの狂乱の宴から一夜明け、GW東京最終日は阿佐ヶ谷で開催された歌ものイベントに行ってきました。見汐麻衣さんと山本精一さんで不定期開催されている弾き語りイベント「二人会」です。

 

阿佐ヶ谷駅のすぐ側の小さなバー。気をつけて歩かないと見逃してしまいそうな路地の一角にありました。びっくりするくらい近くにあって、焦ってしまったり。今回は定員25人ということもあり、早々に売り切れ。開場待ちの人もいるかなと思って少し早めに来たんだけど、それほどでもなかったです。

 

知り合いもやってきたりで、お店の前で待っていると、階段の上の入り口から山本さんが降りてきました。「昨日、良かったです。今日も楽しみにしてます」とテンプレ的な感想を伝え、ご本人はそのままどこかへ。一瞬、もうちょっと何かなかったのか…と思ったりもしたけど、お客が伝える感想なんて「良かった」くらいで充分なんじゃないかなと思ったりでした。

 

程なくして開場。きゅうきゅうに用意された椅子席の2列目(1列目は距離が近過ぎてちょっと止めた)の隅で開演を待つことにしました。徐々にお客さんもやってきて、小さなお店は、身動きとるのも憚られるくらいのお客さんで溢れていました。

 

 

見汐麻衣

定刻になり、まずは見汐さんから。カバー、新曲、埋火の楽曲がバランスよくまとめられた約1時間の演奏でした。しっかりと芯があって、伸びやかで澄んだ歌声、ギターの音も少し聴いただけでそれと分かる。見汐さんの歌は、心が浄化される様な気がするんだよなー。んで、埋火の「溺れる魚」、「と、おもった」と聴けたのは嬉しかったところ。

 

演奏している姿はあまり見えなかったので、目を閉じて情景を浮かべたりしながら聴いてました。あと、自分は音楽に浸っているときには、天井とか見てしまう癖があるんですが、今回も見てた。ちょっと高い天井に歌が吸い込まれていく感覚が良かったです。また、ふと外の景色に目をやると、阿佐ヶ谷の商店街を行き交う人の姿が見えて、映画のワンシーンみたいで感動しました。特に何気ない日常の延長にこんなに素敵な音楽がある。そんな時間でした。

 

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山本精一

こういうシチュエーションで山本さんの弾き語りを観るのはとても久しぶり。セッティングを終え、おもむろにサングラスをかける。「今日はそういうモードなのか」と思ったんだけど、2〜3曲やって「譜面が見えない」と取ってました。

 

50分くらいの演奏でした。「水」や「飛ぶ人」といった定番曲から、羅針盤の曲、カバーがいくつかあったり。見汐さんと対照的に、非常に危うくて淡々と歌うその姿に、何故だか分からないけど感動してしまう。中でもはちみつぱいの「僕の倖せ」が聴けたのは嬉しかったです。山本さんの立体的な音像の中、少し埋もれがちな歌とも、とてもマッチしていました。

 

 

山本精一×見汐麻衣

最後はお2人によるボーナストラック。伴奏とボーカルを山本さんが、見汐さんは歌のみで5曲ほど。「ロボット」のカバーが好きでした。Phewさんバージョンのぶっきらぼうな歌い方も好きですが、見汐さんの澄んだ声と、キラキラしたギターの陶酔感が素晴らしかった。その後の「インスタントコーヒー ラグ」でそれぞれがボーカルを取っている瞬間、最後の最後の「スーダラ節」でのコブシは入りまくりな見汐さんの歌とダメダメな感じの山本さんの歌の対比がこれまた最高でした。一瞬、爆音ギターも炸裂したしね。

 

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駅の側にある商店街の路地を少し入った小さなバーで行われた「二人会」、温かな雰囲気のあるお店で行われたこのイベントは、さながら知り合いの家で開催されているような安心感があり、歌は日常のすぐ側にあるものなんだと感じたりしたイベントでした。

20180504 ROVO presents MDT Festival(ROVO、坂本慎太郎、GOMA & THE JUNGLE RHYTHM SECTION) /日比谷野外音楽堂

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毎年一度のお祭り、MDTです。今年もやってきました。まさかの坂本さんが出演とのことで、チケットも即日完売でしたが、なんとか抽選予約に当たり、参加することができました。

 

14時から物販ということもあるので、着替えを持っていない自分は、着替えの調達がてら少し早めに会場へ。ROVOや坂本さんのリハーサルの音漏れを聴きながら、これからに備えてハイボールを1缶開けたり。

 

無事、物販で着替えを購入し、会場入り口付近でブラブラと。少し早めに着いたお客さんが本当に楽しみそうに、そして静かに高揚している雰囲気。素晴らしいです。

 

で、開場→座席確保からの乾杯。開場→開演までは1時間くらいあるけど、色々食べたり飲んだり話しているとあっという間。そして、定刻になり、トップバッターのGOMA & THE JUNGLE RHYTHM SECTIONの演奏が始まりました。

 

 

GOMA & THE JUNGLE RHYTHM SECTION

まずは、バンドメンバーが出てきてからのリズムセッション。少し経ってから真っ赤なパーカーのGOMAさんが出てきました。

 

メロディー楽器ほぼゼロという中で、シンプルかつ強固なリズムのアンサンブルと、客席のテンションと興奮を煽るようなGOMAさんのディジュリドゥ。これで踊らないなんて有り得ないってくらい踊らされました。芯がしっかりあって、リズムパターンも豊富だけど分かりやすくて、本能的に踊ってしまう。

 

夕方になり、少しずつ気温も下がってくる時間帯でしたが、場内はカラッと暑く、心地よい汗と興奮を感じられる素晴らしいパフォーマンスでした。

 

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坂本慎太郎

多分、この人目当てのお客さんが相当いただろうという感じ。かくいう自分もその一人なのですが、セッティングのときに坂本さんがSG持っている姿を見ただけで泣けてきました。そして、この瞬間のみ、少し雨が降っていて、何かの暗示かと思ったり。

 

今回のバンドメンバーは、音源でも演奏されていたさん菅沼雄太さん(Dr、Cho)、AYAさん(Ba、Cho)と西内徹さん(Per、Sax、Fulte)でした。西内さんは、完全に想定外で「誰?あのおじさん!?」となってしまってました(失礼)。

 

最初、坂本さんはスティールギターで「思い出が消えてゆく」と「スーパーカルト誕生」を。熱量控えめ。さっきとは打って変わって、奇妙でいながら心地よい空気感の中でゆるゆる身体を揺らしているお客さん。その後、坂本さんはSGに持ち替え、立って演奏していました。ジャケットを着ていて、ステージ上の印象は以前と違ったものですが、リズムの取り方や独特のステップの踏み方は、以前のそれであり、とても嬉しいものでした。それから演奏された曲たちは、ハードな歪みな鳴りを潜め、ほわほわした音像で、楽しく踊ることができました。楽しく踊っているんだけど、歌詞の感じや楽曲の持つちからなのか、少しアンニュイな感覚もあったりで不思議でした。

んで、バンドメンバーの演奏ですよ。菅沼さんのドラムは、タイトというか、熱を感じさせずに自然と乾いた音だった。AYAさんは佇まいが綺麗過ぎて、美しい指の動きと、もっちりしたベースの音にうっとりとしてました。西内さんの演奏も、曲にカラフルな彩りを添えてました。

 

60分くらいかな。あっという間で夢のような時間でした。野外で聴くこともとても良かったけど、どこかカフェみたいなとこで、座って観たい、そんなステージでもありました。

 

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ROVO

やはり野音でのROVOは特別でした。セッティングが終わり、1曲目が始まった瞬間の高揚感。新曲多めで攻めのセットリストに脱帽だったし、気がついたらペットボトルの赤ワインが空になってました。新曲は2曲目が好きです。ちょっと暗くて、伸びやかなメロディーは好きしかないです。座席で酔いつぶれて倒れているお兄さんも愛おしい。夕方から夜になっていく1日のコントラスト。照明の素晴らしさ。MCや歌なんてない、ただ演奏だけで千人単位のお客さんを踊り狂わせている。音楽の気持ち良い部分がこれでもかと抽出されたステージでした。

 

細かい感想は…、泥酔してたからあんまり覚えてない。お酒の陶酔感と、お客さんの熱気に包まれながら「最高だな…」と思っているうちに終わってしまったので。

 

 

この最高の時間を過ごした後、普段なら即京都へ帰るんですが、今年は泊まりなので、打ち上げしたりして余韻に浸る時間があって楽しかったし嬉しかったです。そして、半分記憶を失くしながら寝床についたのでした。

 

また来年も行くぞ!そして、出るであろうROVOの新譜に期待です。