日本最古のノイズバンド「非常階段」のヒストリー本。30年以上続くバンドの歩みが当時の関西アンダーグラウンドミュージックシーンと絡めて刻銘に記録されています。軽く300ページ超える大ボリューム。文章がわかりやすく、とても読みやすいので、サクッと読みきれました。
広重少年を音楽に向かわせたきっかけが頭脳警察の「前衛劇団モータープール」だったというのは意外でした。また、プログレの影響があったというのも意外だった。非常階段が結成されて、エログロパフォーマンスの大所帯バンドへ変わって行く過程も面白く、そこから音楽的な方向へ変わっていく様子も興味深いところがたくさんありました。
多くの人がそうかもしれないけど、非常階段のイメージを決定づけた81年頃がどうだったのか、当時どんなパフォーマンスをして、どんな影響があったのかが一番知りたかったところなので、そこに多くのページが割かれたのがありがたかった。
そこにはにわかに信じがたいパフォーマンスの数々が載っていて、「なんてことをしてたんだ」と思う反面、「自分もやってみたいかな」という気持ちになった。
また、関西アンダーグラウンドシーンの変革もとてもわかりやすく書いてあり、自分の生まれる前に「こんなことが起こっていたんだ」とそういう意味での資料としても興味深かったです。それと、JOJO広重さんや美川さんがライブのイメージとは違い、自分たちを取り巻く状況を理解して、とても冷静に行動されているのだなと関心しました。
本に付いてるDVDには昔のめちゃくちゃやってた時代の映像が収録されていて、これがとんでもなくて引いたのと同時に興奮した。ただ、友だちには絶対見せられない映像。1人でこっそり観るのがいいのかな。
ノイズというのは「人間力」という言葉にはとても納得できた。非音楽的な音楽だからこそ、「自分」の持っているのものすべてが音として表現されるんだろうな。
非常階段 A STORY OF THE KING OF NOISE
- 作者: JOJO広重,美川俊治,JUNKO,コサカイフミオ,野間易通
- 出版社/メーカー: K&Bパブリッシャーズ
- 発売日: 2010/09/03
- メディア: 単行本
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