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行ったライブのレポなどが書かれていると思います

12.22 エディット・トレイン ギターと浪花節との道行き /京阪電車貸切車内

秋口くらいに友だちにこのイベントのことを教えてもらって、面白そうだから行くことにしました。学生時代〜就職してしばらくずっと乗っていた京阪電車でライブ、折り返しの駅が樟葉というモロ地元駅ということも個人的な興奮ポイント。残念ながら、教えてくれた友だちは都合が合わなくて行けなくなってしまったので、ひとりで会場まで向かいました。

今回のイベントは松岡正剛さんのプロデュース。貸切の京阪電車内で京阪中之島駅〜樟葉で折り返し〜なにわ橋駅へという流れの中で出演者のライブが行われるというものでした。電車は全3両で、往路では中央の車両で10分ほどのトークの後に京都寄りの車両で春野恵子さんの浪曲が、復路では大阪寄りの車両に場所を移し、トークの後で山本精一さんのギター演奏という流れ。車内のいろいろな場所で演目があるので、お客さんは自由に移動しながら演目を楽しむというかたち。その後は場所を移してアフタートークという構成でした。

受付を済ませ、特別なチケットを改札に通し、改札内へ。改札内で電車の準備を待っていたんだけど、どんどんお客さんが増えていって「明らかにキャパオーバーじゃないのか?」と不安になったけど、実際乗ってみるとそれほどでもなく快適に過ごせました。

しばらく経ち、係の人に案内され電車内へ。自分は山本さん目当てなので、迷わず大阪寄りの車両に乗り込み発車を待ちました。電車内にセッティングされたジャズコーラス2台が異様な存在感を放ち、大興奮でしたよ。しばらくして車掌さんも乗り込み、出発。真ん中の車両で松岡さんがナビゲーターとなって春野さんと山本さんの紹介をされ、少しトーク。モニターはなくて映像は観れないけど、スピーカーで音は聴こえてくるので、電車内でラジオを聴いているような不思議な感覚になりました。トークが終わり、車両を移して春野さんの浪曲が始まりました。


春野恵子
元々は日本テレビ「進ぬ!電波少年」ケイコ先生としてデビューされ、その後2003年から浪曲師へ転身され活動されているそう。世代のはずなんですが、電波少年はほとんど観たことがなかったな。でも、ケイコ先生の存在はぼんやり覚えていたのでびっくりでした。

最初の演目は古典「おさん茂兵衛」。恵子さんがいらっしゃる車両はお客さんで一杯になり入れなかったので、自分は真ん中車両で様子をチラチラ観ながら音を聴いたり。浪曲を生で聴いたのは初めてでしたが、意外にもすんなり耳に入ってきたのが印象的でした。節っていうのかな、メロディーがしっかりあったり、三味線もあって音楽的に聴こえたのが原因かもしれません。

次に披露されたのは新作「平成女事情」。こちらは山本精一さんとのコラボでした。車両の後方にいる山本さんの足下には6つほどのエフェクターが並び、けっこう本気モードなのでしょうか。でも、山本さんは「これ、ギターいるかな?」と半信半疑。そんな感じでしたが、演目はスタートしました。山本さんのギターはかなり小さめの音だったみたいで、隣の車両の自分には残念ながらさっぱり聴こえませんでした。この浪曲は新作というだけあって「スマホ」なんかの言葉もあって面白かったです。けど、リズムやコブシまわしなんかはやっぱり浪曲なんだろなと思いました。

そんな感じで樟葉駅に到着し、往路の演目は終了。独特のメロディーが耳に残る歌部分と語り部分の混じり具合が面白くて、初めての浪曲体験はとても興味深いものになりました。なんか、グルーヴなんかも感じるときがあって、音楽として聴いても楽しめるものなんだろうなと感じました。


山本精一
そして、車両を移動して復路の山本さんの演奏を待ちます。係の人がエフェクターを持ってきて大阪向き車両の最前列にセッティング。程なくして山本さんもやってきてギターやアンプに繋ぎ、準備を始めています。正剛さん、恵子さん、三味線を弾かれていた方(すみません、お名前覚えてない…)も到着し、往路の演目が始まりました。正剛さんが自分の座っているところから15cmくらいのところに立って話しておられてめちゃくちゃ緊張しました。

で、往路は正剛さんの語りと山本さんのギターをメインに恵子さんらが声や三味線で絡んでいくというもの。今回の山本さんはギター空間系のエフェクターを多用したアンビエントなアプローチでした。この企画の特徴として、車掌さんの声なんかは普段通りにということみたく、空間の中で現れては消えていくような山本さんのギターに、ポツリポツリと言葉を紡いでいく正剛さんの声の後ろで聴こえる車掌さんの「進行よし!」などの声や電車の揺れる音なんか混じっていきました。電車内という日常空間と山本さんの非日常的なトリップ感溢れるギターがなんとも言いがたい奇妙な世界を作り出していました。駅に停まっているときには、窓の外から「何やってるんだろ?」と覗き込む人もいて、現実世界から切り離され、パラレルワールドにでも迷い込んだような不思議な感覚に捕われていました…。


30分弱の復路が終わり、延べ1時間半程度の不思議な不思議な旅は終了。会場を移し、先ほどの出演者でのアフタートークへ。

詳しくは書けないことも多くて書けません。前半は打ち解けきれていないからか、比較的真面目な話で様子を伺う感じでしたが、後半になるにつれて(というか山本さんがヒートアップするにつれて)ヤバい方向へと流れていったりして、うんうん頷くアカデミックな香りも漂わせながら笑いもある楽しい時間でした。ところどころで山本さんがスイッチ入ったように饒舌になるところが面白かったです。やっぱりこの方の趣味範囲は広すぎる。

そんな感じで予定時間をオーバーするくらいのトークで、本当に面白かったです。受付に看板も何にもなくて場所がさっぱりわからなかったり、急遽タイムテーブルが変わったのかチラシに手書きで修正してあったりと少し段取り悪く、全体にギリギリ感あって心配な面もありましたが、終わってみればとても興味深く面白いイベントでした。

こんな感じの電車内でやるイベントというのは本当に面白かったからまた是非やってほしいです。