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企画したイベントや、行ったライブのレポなどが書かれていると思います。

7.17 フェルナンド・カブサッキ京都公演 at UrBANGUILD(Fernando Kabusacki、山本啓、景山奏、川上優、堀川達 (from Nabowa)、山本精一(影武者アルゼンチン)) /木屋町アバンギルド


昨年も来日公演を観たんだけど、あまりの音の純度の高さ、美しさに心奪われたフェルナンド・カブサッキさんが今年も来日。日本各地でその土地のミュージシャンとセッションを繰り広げられています。今回行った京都公演では、Nabowaのメンバーと影武者アルゼンチンという謎の肩書きを付けた山本精一さんが共演者。この申し分ない組み合わせに、即予約メールを送っていました。

仕事が長引いたせいでオープンから少し経ってからの到着。平日だったためか、思った程は人が入っていませんでした。最終的には椅子席がほぼ埋まるくらいで50人はいないかな…くらい。とりあず、生ビールを飲み、ほろ酔い気分になった頃、おもむろにライブは始まりました。

影武者(山本さん)が司会っぽいことをされていて、まずはNabowaメンバーとのトリオ×2とのことでした。

第1部

初めのパートはフェルナンド・カブサッキさん(Gt)、景山奏さん(Gt)、山本啓さん(Vin)という組み合わせ。リズム楽器やベースがいないためか、浮遊感あるアンビエントっぽいアプローチでした。ディレイを聴かせた美しいギターの音がぽつりぽつりと浮かんでは消えて行くような音像がとても印象的で、自分は淡いピンクや青の光がじわじわと目の前に浮かび上がってくるような映像が見えていました。後半、少しメロディアスな展開へと変わっていき、長いトンネルを抜けた後のような心地よい開放感があって気持ちよかったです。

そのままメンバーが変わり、フェルナンド・カブサッキさん(Gt)、堀川達さん(Ba)、川上優さん(Dr)という組み合わせ。リズム隊のお2人が音の下地を作り、そこにカブサッキさんがギターを被せる感じでした。最初のセッションが左右の関係性だとしたら、こちらは上下の関係性の中での演奏といった感じかな。ジャズっぽいアプローチのメロディアスな展開が印象的でした。カブサッキさんの音は澄み切った純度の高い音で、歪ませていてもとても綺麗でした。前半はクールに演奏していたんですが、後半に差し掛かるにつれて音も大きく、歪んでいき、熱を帯びた演奏になっていました。少しダウナーな空気になっていく場面もあって、そこもよかったです。


ここで少し休憩をとなりました。自分は晩ご飯にタコライスを食べたり、物販で山本さんの新作CD-Rを買ったりして時間を過ごしていました。


第2部

まずはフェルナンド・カブサッキさん(Gt)と山本精一さん(Gt)のデュオからスタート。このデュオが凄かったです。お互いの間合い、片方がフレーズを弾き始めると即座に反応して近くに寄り添ったり離れたり、とても立体的なセッションでした。前半はテンポも落としめでアンビエンスな陶酔感のあるギターサウンド。カブサッキさんは効果音的な音をメインにされていました。中盤は少しダークな、それでいてどことなく奇妙なフレーズが印象的な展開。お互いがフレーズをぶつけ合うような感じで面白かったです。一瞬、昔のロックンロールみたいなフレーズ飛び出してきたのにはびっくりしました。で、後半は電子音みたいな音でとても安らぐ気持ちいい音に癒されました。お2人の音の引き出しの多さに唖然とせざるを得なかったです。

どちらかと言えば、山本さんがフレーズを弾くことが多く、カブサッキさんは裏方に回ることが多かった。でも、要所要所で演奏を引っ張っていて、さすがだなと思いました。

本編最後は全員でのセッションでした。音の厚みもあってもちろん良かったのですが、6人でのセッションとなると、どうしても各パートの自由さが減ってしまうような気がして、少し面白味に欠けるような感じがしました。個人的にはそれまでの方がよかったかな。

アンコール

で、アンコールです。アンコールはカブサッキさんのソロ。圧巻でした。その音の純度の高さは宝石のようでもあったし、無垢な赤ちゃんのような美しさがありました。真っ白な光の空間の中の澄み切った湖に身体を浮かべて漂っているような感覚がありました。とても優しいメロディーが重なり、本当に安らかで包まれるような安堵感があった。音の桃源郷にいるようでした…。


と、言うような感じで、各パート20分〜30分くらいだったんだけど、各パートそれぞれ個性があってとても面白かったです。そして、感動的でした。決して自分を押し通すことなく、セッションする相手によって適切に色を変え、活かすことができるカブサッキさんの力量に感激しました。





自分の中の今年のカブサッキさん来日公演はこれで終わりだと思いますが、また日本にやって来てその音を聴かせて欲しいと本当に強く感じました。