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企画したイベントや、行ったライブのレポなどが書かれていると思います。

6.8 『あざみ野コンテンポラリー vol.5 ハンス・ライヒェル×内橋和久 Listen to the Daxophone』(スペシャルライブ『Listen to the Daxophone #2』) /神奈川県 アートフォーラムあざみ野 1階レクチャールーム



アルタードステイツやソロライブで内橋和久さんの演奏を観るたびに謎の音を出していた楽器、ダクソフォンをフューチャー展示が、さらにはスペシャルライブがある、出張の翌日で丁度タイミングも合った!ということで行ってきました。ちなみにというか、当然というか、このスペシャルライブのチケットはすぐさま完売となった模様。



ダクソフォンはドイツの音楽家ハンス・ライヒェルさんが開発した楽器で、人の鳴き声のような、不思議な音が奏でられる楽器です。ハンスさんは数年前に亡くなっていて、彼が作ったダクソフォンは世界に数台しかないそう。そのうち、1台は今回の主催である内橋さんがお持ちとのこと。



こんな音が出るようです。不思議な楽器です。


既に展示に行っていたお知り合いから「ゆっくり展示を観るなら早めに行った方がいいよ〜」というアドバイスを受けて早めに会場へ。お昼時だったこともあって、自分以外のお客さんはいないという状況でした。

受付を済ませてまず入ったのは真っ暗な部屋。ダクソフォンの音が響く中で奥のスクリーンでタング(木片)の形をした光が揺らめいていました。そして部屋を出ると、次には大きな展示室があり、ハンスさんが自作したダブルネックギターなどが展示されていました。音も聴くことができたのですが、とても落ち着ける透き通った音色が印象的でした。




他にはハンスさんの工房の写真やテレビ出演時の映像などがあったり、タングごとの音の違いがわかるような展示があったりととても興味深く面白いものが多かったです。



中でも圧巻だったのは、壁一面に飾られたタングの数々。ダクソフォンはタングを取り替えると全然違った音がするから、これだけの音の可能性があるのかと関心しました。


で、部屋の中央にはダクソフォンの実物が展示されていました。できれば触って音を出せればよかったのですが、それはできず…。台数が少ないからしょうがないと思いますが、ここは少し残念でした。


そんな感じで一通り展示を見終えて、ライブまで時間があったので駅まで戻って時間を潰す。近くの喫茶店で延々寝ていただけですが…。開演時間が近づいてきたので、再び会場へと戻りました。



会場内へ入ると、多くのお客さんが。年齢層はなかなか高めの方が多かった印象です。若い方もちらほらと。会場となったレクチャールームは小規模なホールで、普段はクラシックの演奏とかしてるんだろうか、音響もよさそう。座席もゆったりとしていて、ストレスなく観れそうでした。開演時間となり、まずは内橋さんがお一人で登場。少しお話があってからダクソフォンの演奏が始まりました。

最初のパートではメロディアスなフレーズが印象的な曲を演奏。弦楽器のようでもあり、動物の鳴き声のようでもある不思議な音。今までのライブでは、合間のアクセントとして演奏されることが多く、こうしてしっかりとダクソフォン単体で演奏を聴くことがなかったからとても新鮮でした。次のパートではタングを変えてバチのようなもので打楽器的なアプローチをされていました。リズムを作り出しつつも、音の高さも変えながら、さながらメロディー楽器のようでもありました。タングを変えるだけでここまで印象が変わるものかとびっくりしました。さらに、その音をループさせて、別のタングを使ってメロディーを被せていました。こういう即興で音をループさせて広がりある音世界を作り出すアプローチは内橋さんならでは。ダクソフォンという楽器の奥深さや面白さを伝えながら音楽的にもとても面白い演奏で、個人的にはこの日一番よかったです。

そして、1人目のゲストUAさんを呼んでのデュオ。UAさんのお母さんの生まれ故郷の歌や他何曲か。最後は「閃光」でした。内橋さんの伴奏は最初数曲はダクソフォン、それからはギターが主でした。ギターの割合が多かったかな。ダクソフォンのときは、UAさんの歌声もあってか土や樹の匂いを感じ、ギターのときは立体的な広がりを感じました。あまりにも気持ちよ過ぎて、途中、少し寝てました…。

その次は細野晴臣さん。細野さんはアコギと歌。「セットリストを決めてないね」と言いながらその場で次やる曲を決める細野さん。リハーサルでは3拍子でやっていたのに、本番その場で「2拍子でやろう」といってやったりと、とっても穏やかで緩い空気に包まれていました。やっていた曲はたぶん、全曲カバーだったと思う。アコギに歌、それだけで細野晴臣の音になっていて、それが本当に凄いことだと思いました。

最後は3人が出てきて、みんなでダクソフォンを演奏することに。UAさんは練習されてきたみたいで、けっこう普通に聴くことができました。一方で細野さんは…「練習できてないんだよ」と前振り。んで、思ったように音を鳴らすことができずにかなり苦戦されている様子。ついにはダクソフォンの演奏を止めてギターを弾き始めました。その様子に会場は爆笑で楽しかった。その後はUAさんはダクソフォンを演奏したり歌ったり。細野さんは基本アコギで歌。内橋さんはダクソフォンがほとんどだったかな、自由な編成で数曲演奏して終了。大体1時間半くらいで、そこそこ長時間のイベントとなりました。

アンコールを求める拍手もあったんだけど、用意してなかったとのことで、3人が挨拶して終わり…となるはずが、UAさんが即興(?)で歌って(細野さんと内橋さんもコーラスさせられてました)おしまい。




ホールという会場の雰囲気、お昼間の開催ということもあってか、終始和やかな空気感に包まれたとてもいいイベントだと思いました。ダクソフォンという楽器の面白さや奥深さにも少しだけ触れることができたし、ライブも各出演者の個性がくっきり出ていて面白かったです。ライブ中のMCで、内橋さんが「ダクソフォンをもっと広めたい」いうようなことをおっしゃってました。学校とかで何十人もの人が一斉に演奏したら面白そうです。

いつか市販されることがあったら自分もやってみたいな〜。