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企画したイベントや、行ったライブのレポなどが書かれていると思います。

10.12 『FANDANGO 26回目の神経衰弱』(the原爆オナニーズ、少年ナイフ、下山(Gezan)、NOT A NAME SOLDIERS) /十三ファンダンゴ

どこを切り取っても「強烈」という言葉しかないイベントに行ってきました。

久しぶりの十三の街はやっぱり如何わしさもありながら、ごちゃごちゃしていて楽しい。駅前の商店街を抜けて、会場15分くらい遅れで到着しました。

着いたときにお客さんも少なくて「これはシャングリラとミナホにお客さん取られたかな?」と心配になりましたが、気が付けば8割くらいは埋まっていたかな、動き回るにはちょっとつらいくらいになっていました。開演10分ほど押しでライブスタート。


■NOT A NAME SOLDIERS
初見。当日に開場時間を調べるまで出演することを知らなかった。

長髪のいかついギターに、ベース、ドラム、スキンヘッドのボーカルと一目でハードコアバンドとわかる。初めてでもすんなりと聴けてしまえるわかりやすさもありながら、音は極太でいいバンドだな〜と思いながら観ていました。メンバー全員、こんな音楽やってるけど実はとても優しいなんじゃないかなとか思いました。なんとなく。


少年ナイフ
観るのは今年3月のおとぼけビ〜バ〜レコ発以来で、半年くらいぶり。前回は終始ハードで重たい曲ばかりでガチンコ勝負でした。

オープニングのSEが鳴り、楽屋からの階段をメンバーが駆け下りてくる。ステージ中央でロゴの入ったタオルを広げるメンバー。この様子を見てると「ライブが始まるのだ」と気持ちが上がってきます。で、今回は「Twist Barbie」から。いつものギターの音、なおこさんの歌声を聴くととても安心する。軽いMCを挟み、「バナナチップス」へ。こんなに早くこの曲が演奏されたことにびっくりしながらも、心がウキウキしていました。その後もパンキッシュでいてポップな楽曲が次々と披露されていき、合間合間でヒールケースで作ったお立ち台の上でお客さんを煽るなおこさんとりつこさんに笑顔で盛り上がるお客さん。

そして最後3曲、それまでのポップな楽曲からは一変して「Pyramid Power」、「economic criSiS」、「Cobra Vs. Mongoose」と立て続けにハードな楽曲を演奏していました。ここでスイッチが入ったように爆発的な盛り上がりがあってライブは終了。

今回は前半はポップに、後半はハードにと、少年ナイフのたくさんの魅力を感じることができてとてもいいセットだったと思いました。そして、どんな曲をやっても「楽しさ」だけは決して無くさない素晴らしいバンドだよなとも改めて思えました。

なおこさんのギターと歌声は安心するし、りつこさんの笑顔はまぶしいくらい。えみさんの身体全体を使ったドラムは大好き。なによりメンバー自身が本当にライブを楽しんでいるのが伝わってくるから観ている方も楽しくなるしかない素晴らしいステージでした。


■下山(Gezan)
前回は彼らが活動拠点を東京に移す少し前でした。約1年半前。いろいろ噂は聞くけど、それからどうなったのか観る機会がなくて、やっと観れるのを楽しみにしていました。

セッティングが終わり、メンバーが出てきてからの1曲目。たぶん「月面の爪」だったと思うけど、記憶は定かではないです。いきなり振り切れきったテンションで4人が演奏するもんだから、こちらのアドレナリンも大放出で、思わず前の方へと詰めかけてしまいました。メンバー全員の音がぶつかり合い、そのまま放たれる爆音は圧倒的としか言えません。そのままのテンションで2曲目と続き、途中、マヒトゥ・ザ・ピーポーさんがギターを振り回し、勢い余ってそのまま床へストーンと吹っ飛びました。そこからボーカルのみだったんだけど、ワンフレーズ歌い終わったところでマイクも放り投げてしまうとんでもなさ。その後はイーグルさんのマイクなのか、どこからかマイクをかっぱらってきて客席へ乱入。一緒にコードに絡まったマイクスタンドもやってきました。さらには、イーグルさん、カルロスさんも乱入してきて一瞬で会場がカオスに。2曲終わる頃には、ステージ上のエフェクターはひっくり返り、ありとあらゆるコードが絡みとてつもない状況でした。さすがにちょっと仕切り直し。

次にスローでサイケなナンバーを演奏していました。これが会場全体をねっとりと侵食していくような演奏で、じりじりとした狂気を感じさせながらも音の渦に飲み込まれていました。

そして、マヒトゥさんがサブのギターを抱え、次の曲へのイントロを掻き鳴らしたんだけど、イーグルさんのギターがトラブルで音が出なくなる。いろいろ試したんだけどなかなか直らず。この流れが断ち切られた展開に「なんか気分悪くなってきたわ…」とこぼすマヒトゥさん。これはマズイ空気か。結局、繋いでいたエフェクターのほとんどをはずし、演奏再開。マヒトゥさんはまたギターを振り回して、今度はストラップが切れてそのままギターは床へ吹っ飛んでいきました。その後は
ボーカル中心に、要所要所で床のギターを抱えて音を出す。で、なんとかやりきってそのままライブは終わりました。

今回のライブ、全体の完成度という点では2/100点…というかマイナスかもしれません。全体の1/3以上がトラブルだった気がするし。ただ、インパクトという点では150/100点という感じでした。あまりの凄まじさに毛穴ひとつひとつまで震えるような感覚がありました。

彼らのライブには躊躇というものが一切無く、これ以上やったらマズイという限界点の遥か向こうにいるようなパフォーマンス、表現はまさに圧巻、唯一無二でした。これは体験しなくてはわからない凄さです。


■the原爆オナニーズ
昨年10月に西部講堂で観て以来の約1年ぶりでした。

セッティングもサッと終わり、タイロウさんの叫びから始まるのはもちろん「Go Go 枯葉作戦」。ジョニーさんのタイトなドラムにエディさんのゴリゴリのベース、シノブさんの爆音ギターの音にのっけからお客さんのテンションも高かった。

曲が終わり、タイロウさんが次の曲を叫び、エディの「1、2、3、4!!」カウントで次から次へと畳み掛けるようにライブは続いていく。客席前方はもう何年も応援していたであろう、けっこうなお歳のファンの方々が心底楽しそうにモッシュで暴れ、ステージ上がって客席にダイブを繰り返している。そんなお客さんにタイロウさんはマイクを向けて「Oi!」コールをさせたり、サークルを要求したり。ライブ後半にはステージに上がったお客さんと楽しそうにくるくる回るタイロウさん。この客席との境がなく、いい歳した大人も一瞬でパンクキッズに変えてしまうところが凄いです。

曲目は「なんにもない」、「Society's Child」、「Down in a Flame」、「What's Up」、「I Will」、「Mind Breaker」あたりで最近のものや古いものまでまんべんなくやっていた印象。本編最後は「発狂目覚ましくるくる爆弾」。個人的には「Dead Or Alive」が聴けたのが嬉しかった。1時間ないくらいの演奏だったんだけど、自分も思わず拳を突き上げて叫んでいました。

アンコールではお客さんにリクエストを募り、「香り」、「Underdog(On The Floor)」を演奏。その後もまだまだ足りないお客さんに「まだやる?」と相談して始まったのは「RockawayBeach」でした。ナイフとやったらやるしかないでしょうという感じ。で、最後の最後はやっぱり「Do You Remember Rock N' Roll Radio」。この曲のイントロを聴いて心躍らないなんてありえない。それくらいに盛り上がっていました。

結成30年を超えて、メンバーも50歳半ばとか。まったく衰えることなく無邪気にパンクロックを楽しむ姿には感動すら覚えます。次は11/3の京都大学西部講堂です。


どのバンドが特別よかったということもなく、それぞれのバンドがそれぞれの個性を見事に発揮していて、全部が最高のライブをしていて本当に満足なイベントでした。