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企画したイベントや、行ったライブのレポなどが書かれていると思います。

10.10 大友良英&「あまちゃん」スペシャルビッグバンド /同志社大学ハーディーホール

行ってきました、7月のFREEDOMMUNE以来3ヶ月ぶりのこのビッグバンドのライブへ。自分はあまちゃんの波に乗り遅れることこの上なしで、ドラマはほぼ観ていない状態でありました。今後ゆっくり観ようと思っていますが。そんな自分でも「あまちゃん」のテーマソングは一発で大好きになったし、やっぱりビッグバンドのライブはワクワクするものです。企画は常に素晴らしいイベントをやってくれているP-HOURなので何の不安もなくて楽しみだけありました。

職場から歩いて20分。でも、万全を機して休みを取り、開場時間に到着。初めて行った同志社大学はとても綺麗で、ほどよく学生ならではの文化的な側面も感じられる場所で「やっぱり大学っていいな」と思ってみたり。会場となったハーディーホールはさらに美しく、ちょっとうっとりしてしまいました。

受付でチケットを渡し、地下一階のホールへ。座席表を確認すると、前から数列目だけど端の方で、大友さんとは対面でした。荷物を置いてホール内を散策。どこを見ても「ここなら知的好奇心が刺激されて、学びたい気持ちがどんどん沸いてきそうだな〜」と楽しい気持ちになってきました。

今回の公演はソールドアウトってことで、ぞくぞくとやってくるお客さんを見ていると、老若男女さまざまな人がいたのが印象的でした。普段のライブでは絶対見ないようなおじいちゃんや、幼稚園、小学生くらいの子どもを連れた親子、現代音楽なんかが好きそうな一癖ありそうな人など。気のせいか、カップルやご夫婦が多かったように思いました。あまちゃんがいかに広い世代に愛されているのかが窺い知れた瞬間でした。

そして、開演時間になり、舞台袖からメンバーが出てきました。今回のメンバーは下記の通り(P-HOURのサイトより)


キーボード  江藤直子、近藤達郎
エレキベース  かわいしのぶ
ドラムス  芳垣安洋
クラリネット  井上梨江
サックス  鈴木広志、江川良子、東 涼太
トランペット  佐藤秀徳
トロンボーン  今込 治
チューバ  木村仁哉
アコーディオン  大口俊輔
パーカッション  上原なな江、相川 瞳、小林武文

メンバーの準備が終わり、そろそろとなった頃、客席で座席を探している人を見つけた大友さんは「席は見つかりましたか?」と声をかける。「あの人が席についたら始めましょう」と。でも、なかなか席が見つからない様子で、「それまで曲をやりましょうか」と即興で少し演奏。なんとかその人が座席に着くと「1曲目「席を探す」でした」と言ってみたり。このやりとりに一気に会場が和やかな雰囲気になりました。

2曲目(?)はもちろん「あまちゃん オープニングテーマ」。やっぱりこの曲は問答無用で盛り上がります。シンプルで、これからもずっと演奏され続けていくのだろうなと思うと感慨もひとしおです。それから「行動のマーチ」、「あまちゃんクレッツマー」とノリのいい曲が続く。特に「あまちゃんクレッツマー」はCDよりもかなり長尺サイズで、途中にサックス、トロンボーン、、パーカッションにチューバのソロ回しタイムがありました。なんだか音楽旅行の旅に出ているようで楽しかった。ひとり演奏が終わると観客席からは拍手が起こり、盛り上がっている様子もよくわかりました。

中盤で面白かったのは、笑っていいともに出演したときにタモリさんから褒められた「軋轢」という曲。この話をしている大友さんは本当に嬉しそうだった。この日実際に演奏したのは、「軋轢」と「友情」を合体させた「軋轢と友情」でしたが、大友さんはギターを激しく動かし、さらにギターをフィードバックさせたりとノイズミュージシャンの顔を少し覗かせていました。こういう方がなんとなく落ち着いてしまう自分よ…。

本編最後は「灯台」で、大友さんのギターのイントロが印象的でした。終わりを感じさせながらも、これからに向かって前向きな気持ちになれる素晴らしい楽曲だと思います。

そして、アンコールで演奏されたのは「潮騒のメモリー」。ボーカルは誰が?と思ったら、なんと大友さんと一緒にこの曲を作ったSachiko Mさんでした。サビの部分では真ん中あたりのお客さんがパーティークラッカーを鳴らし、それがきっかけでみんなが手拍子したり「マーメイド!」コールがあったりで本当に盛り上がりました。で、締めはもう一度「あまちゃん オープニングテーマ」で終わり。アンコール含みで1時間半程度の演奏でした。

全体を通してみると、大友さんが次にやる曲に関わるドラマの裏話や制作秘話なんかを丁寧に解説→曲という感じで、ライブとしてのテンポを重視するのではなく、ドラマの思い出をゆっくり振り返りながら1曲1曲噛みしめるように進行していたように思いました。ドラマをほとんど観ていない自分にはその感覚はわからなかったけど、周りを見てみた感じそうではないかなと思えました。曲目も最初はわちゃわちゃ→中盤はしっとり→後半に向けて感動みたいな流れのあるものでよかったです。ホールだったからか、ちょっと音がぼわんぼわんとぼやけた感はありましたが、少し経てばそれほど気にはなりませんでした。

今回はFREEDOMMUNEとは違って、ドラムに芳垣さんがいたのもよかった。演奏全体がビシッと締まっていた気がします。

このバンドは今年で終わりだろうから、これが最後になると思いますが、観ることができて本当によかったです。演者の皆さんは本当に楽しそうに演奏をしていたし、ふと横を見れば、お年を召した夫婦が笑顔になって手拍子をしているのが見えて、音楽の楽しさと素晴らしさに泣きそうになりました。