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企画したイベントや、行ったライブのレポなどが書かれていると思います。

9.21 ASTRO(Hiroshi Hasegawa+Rohco)、長谷川静男(長谷川裕倫+内田静男)、MASONNA、ななのば(嶽本野ばら+北出菜奈) /難波ベアーズ

何かのきっかけでふいに知ったイベント。MASONNAはもちろん、長谷川静男が関西にやってくるというのは奇跡的な出来事だと思ったので、元々入っていた予定をキャンセルして行ってきました。

ぴったりくらいに着いたんだけど、開場時間が押しているみたいで少し待っていました。自分が待っている間に少しずつお客さんが増えていく。で、中に入って前の方でのんきに待っていました。初めはまばらだったけど、開演時間くらいには7割くらいは埋まる感じ。


■ななのば(嶽本野ばら北出菜奈)
自分の周りに普段ライブハウスでは見かけないようなゴスロリな女の子が多いなと思ったんだけど、何故だかは最後までわかりませんでした。ライブが終わってからギターの人が嶽本野ばらさんだとわかったときに「そういうことだったのか」と。

ステージの後ろにフランダースの犬の映像を映して、北出菜奈さんがそれを操作したりしてました。野ばらさんは基本はギターで、時折拡声器やドリルを使ってノイズを出していました。前の方で観ていたせいか、北出さんの音がそれほど聴こえなかったのと、その場の思いつきで淡々とやっているような感じで、全体の流れがあんまりわからずいまひとつ面白みに欠ける印象でした。

たぶん、立ち位置が悪かったのかもしれないです。


■長谷川静男(長谷川裕倫+内田静男)
大好きすぎて、早くライブをしてほしいと切に願ってるバンドあぶらだこのボーカル長谷川裕倫さんと内田静男さんのユニット。存在は知ってましたし、ライブを観たいと思ってはいましたけど、なんとなく関西では観れないと思っていたからすごく楽しみにしていました。ふらっと楽屋から出てきた裕倫さんは背が高くてスラッとしていて、かっこよかった。でも、どこか異様な雰囲気を漂わせていて、ドキドキしていました。

裕倫さんの楽器はウクレレエフェクターをいくつか繋いだもの。内田さんはフレットレスのベースにエフェクターが何個か。ミキサーらしきものも目の前に置いていたから、音量なんかは自分でコントロールしているのかもしれないです。

肝心の音は、内田さんが弓弾きを基本にして地の底から這いずり回るようなドローンとした音を出し、裕倫さんがいろいろ上に被せる感じかな。裕倫さんも弓弾きすることが多かった。内田さんの音はマイクに乗っかっているんだけど、裕倫さんの音は、生音の時が多くてびっくりしました。ウクレレ独特のぴょんぴょんとした音だったり、ボディを叩いたり、弓でウクレレのペグのあたりでピックアップ間近をキーコキーコこすっていて、別次元の音を出していました。ボディが削れているのか、なんか白い粉みたいのが落ちているのも見えた気がします。発想や感性がただものではないですね。

自分はノイズを聴いているときは、大体、音の粒や幾何学模様か宇宙が見えるんですが、長谷川静男の音はそういうのではなくて、密林のジャングルとかで樹木の穴の中から生き物が出てきたり…イグアナやカエルなんかが川べりを這っていたり…そんな映像がずっと浮かんでいました。

たぶん、裕倫さんのウクレレの音がやけに生々しかったからだと思います。ちょっとこれはまた観たいです。

動画がなかったんで→https://myspace.com/hasegawashizuo/music/songs


■ASTRO(Hiroshi Hasegawa+Rohco)
タバコを吸いに後ろに下がっている間に始まったので、ステージはほとんど見えませんでした。宇宙空間をイメージさせる正統派ノイズという印象。音も大きくて、全身にノイズの粒子を浴びて身体が浄化されたような気がしました。素晴らしかったです。


MASONNA
大体いつもはセッティングの様子をドキドキしながら見守るんだけど、今回は知り合いとの話に夢中でした。ふとしたときに音出しで強烈なノイズが聴こえてビクッとなったり。さすがはベアーズといったところか、スムーズにセッティングが終わり、一旦楽屋へ帰るマゾさん。お客さんの緊張度もどんどん上がっていて異様な空気が生まれました。そんなときに歓声が聞こえてきたので見てみたら、まさかの裕倫さんで笑いました。

ふいに楽屋のドアが開き、マゾさんがマイクスタンドの前へ。自分の鼓動がどんどん速くなっていくのがわかる。そして、絶叫とともにエフェクターのスイッチを踏んづけると会場中で極悪なノイズの粒子が暴れまわっていました。いきなりスピーカーの飛び乗るマゾさんを見て「今日は無事には終わらないかも」と思ったあたりで客席に突っ込むマゾさん。展開が速すぎて一瞬でも油断したらとんでもないことになりそうで、常に気を張っています。2度ほど客席へ突っ込み、どこかへ吹っ飛んでしまったのか、マイクのないマイクスタンドを振り回して最高潮に身の危険を感じた頃、MASONNNAはステージにはいませんでした。

時間にすると約1分半。1分半なんだけど、1秒1秒が必死で、永遠にも感じられる1分半。誰もいなくなったステージの前で疲れきってしゃがみこんでしまう自分がいました。濃密という言葉なんかでは足りないくらいに自分のすべてを放出して過ごす1分半。これがたまらなくていつもライブに通ってしまう。

今回は音楽的なところでもよくって、全体の完成度もピカイチだった気がします。MASONNAのノイズは他のノイズとは質が違って、重たくて強度を持ったノイズ。圧倒的でした。


終演後、MASONNAのLPとサディスト、Kito Mizukumi RouberのCDを購入。物販のお姉さんが「CD売れたよ〜」と誰かに声かけてるので振り返ってみたら、裕倫さんがいらっしゃってびっくりしました。気さくな感じで握手をして下さって嬉しかった。