昨年のレインボーヒルで観てから、あまりの素晴らしさに感動しまくりだったパスカルズ。密かに関西に来てくれないかなと待ち焦がれていました。そんな中での京都ライブ、しかも2DAYSとあれば行く以外の選択肢はありません。通し券は磔磔店頭でしか売っていないので、光の速さの気持ちで買いに走り、ずっとこの日を楽しみにしていました。
まず、初日となる14日はパスカルズのワンマン。開場時間の少し前に到着すると、そこには期待感に胸を膨らませたお客さんがたくさん集まっていました。そして、ほぼ定刻に開場し、自分も中へ。
会場内は前方から中ほどくらいまでは椅子とテーブルが並べられており、ゆっくりと観れそうな感じ。ちょっと間隔が狭いかなと思いましたが、立って観るよりは全然マシ。ステージには所狭しと椅子や楽器が並んでいます。床にはオモチャの楽器が転がっているところがパスカルズらしい。楽しくなってきますね。自分は真ん中から少し左側、前から2列目くらいに座りました。
やっぱりビールが進み、ほろ酔い気分になってきたところで開演時間になりました。フラフラとメンバーがやってきてステージの上へ。メンバーは全員で14人。奥の人から入っていかないと座りきれないくらいのきゅうきゅうさで、ステージ上でちょっとした渋滞がおきていました。先に入らないといけないメンバーほど遅れてやってくる(笑)
■セットリスト(公式サイトから拝借)
・1部さんぽ
Farewell Song
きんとんうん
のはら
なななのか(歌ありver.)
6月の雨の夜、チルチルミチルは
井戸の底の星
かもめ
空
・2部
むし
By This River
踊ろう
だんだん畑
ガタタンロード
花火
ファンファーレブーメラン・アンコール
そんなゆる〜い雰囲気で始まったのは「さんぽ」でした。演奏中におもちゃの楽器をピーピー鳴らす石川さんやロケット・マツさんの自由さ。それが邪魔になることはなくて、演奏と溶け合っているところがよい。自然と身体を揺らしながら、優しく、遊び心いっぱいのサウンドに思わず頬がゆるむ。いきなりパスカルズの持つ楽しさが全面に伝わってくるようでした。そのままの流れで演奏されたのは「Farewell Song」でした。横澤さんのドラムでついつい踊りだしたくなり、曲の後半で原さんは立ち上がり、客席にやってきてバンジョーを弾き、一気に会場内のテンションは上がっていきました。
で、MC。ロケット・マツさんの「二部制でたっぷりやります。長いかもしれないけど…」の言葉に会場から笑い声がこぼれました。自分は「いやいや、全然長くやって下さい!」と心の中で返す。ずっとこんな感じでゆるく、和やかな空気でライブは進んでいきました。
次に演奏された曲は「きんとんうん」。少し悲しげで民族的なメロディーで大好きな曲。坂本さんのノコギリの音。あかねさんのボーカル、知久さんのボーカルが乗ったときにどうしても泣きたくなってくる。来年、映画の主題歌をやるってことで、ロケット・マツさんが軽く紹介されてからその映画の曲を披露してくれました。とても美しくてシリアスな曲でした。そこから「6月の雨の夜、チルチルミチルは」が始まったもんだから、ちょっと困りました。完全に泣かせる流れじゃないですか。この曲は歌詞の断片を聴くだけでも涙なしでは聴けない…。
そこから坂本さんのエフェクティブなチェロのソロが始まり、宇宙に連れていかれたような気分になる。これまで聴いたことないくらいの圧巻のソロでした。音が次第に止んでいき、次の曲か?と思うも、少し無音の間が空く。曲の入りをミスしたみたい。会場からは笑い声が聞こえ、気を取り直して「井戸の底の星」へ。こういうツメの甘さがパスカルズらしくて面白いです。その後2曲ほどやって第一部はおしまい。
少しの休憩を挟んでの第二部は「虫」からのスタート。数曲は暗めの曲が続きましたが、「Taking Dog Fields」あたりでパッと世界が広がったような印象を受けました。ロケット・マツさんもそうだったのか、どんどんテンションが上がっていって、曲の終わりらへんで叫んでいたり。
ライブも後半に差し掛かり、「だんだん畑」を演奏してくれました。哀愁漂うメロディーなんだけど、石川さんのパーカッションと動きが楽しくて、悲しくなりすぎないところがよいです。それにしても、今回のライブの曲目は自分が聴きたいと思っていた曲をどんどんやってくれてとても嬉しい。
さっきの映画の挿入曲の「ガタタンロード」という曲も演奏されました。タイトルどおり不安や迷いがありながらも、希望や未来に満ちたような、そんなイメージが頭に浮かんでくるようでした。本編最後は定番中の定番「ファンファーレブーメラン」。盛り上がりました。立ってみていたら、みんな踊り狂っていただろうなと思います。中盤のドラム、パーカッションの掛け合いも自由でとても面白い。もう一度メロディーに戻ってきてテンションは天井知らずで上がっていく。曲の最後に坂本さんがチェロの足に電動ノコギリか何かで火花を散らしていたのにはびっくりしました。演奏のテンションもあって、かなりカオティックな展開だった。もちろん、アンコールを待つ拍手は鳴り止みませんでした。
アンコールではまず「どですかでん」が、ダブルアンコールでは「ハートランド」を演奏してくれました。最後の最後の「ハートランド」は盛り上がった祭りの終わりのような寂しさと儚い感覚がありながら、音のひとつひとつが優しくて、みんなで合唱している様子が楽しい。泣きながら笑ってしまう…。
そんな感じで大満足な1日目は終わりました。
2日目はふちがみとふなとさんを交えてのライブ。初日のMCでロケット・マツさんが「ちょっと登場するくらいでなく
、どこかにステージ作って全編出ます」と言っておられました。天気はあいにくの雨。やっぱり開場時間少し前に着くと、たくさんの人が集まっています。入り口でドリンクを受け取って中に入る。今回は机なし。ダッと椅子が並べられていました。今回はステージ向かって右側前方に着席。ふちがみとふなとさんは会場の左端に作られた特設ステージでの演奏のようです。
開演時間になり、パスカルズのメンバーが登場。ふちがみとふなとさんも出てくる。
■セットリスト(公式サイトから拝借)
・1部Home Coming Song
せんたくおひさま(ふちがみとふなと)
私の秘密(ふちがみとふなと)
ガタタンロード
キリギリス楽士(ふちがみとふなと)
森
ヒーのワルツ(ふちがみとふなと)
アフリカのお手伝いさんのうた(ふちがみとふなと)
El Don Gavacho・2部
6がつのうた(ふちがみとふなと)
Taking Dog Fields (ふちがみとふなと)
空
だってチューだもん(ふちがみとふなと)
マボロシ
三丁目の夕日(ふちがみとふなと)
ファンファーレブーメラン
Go! Go! マングース(ふちがみとふなと)
花火
・アンコール
WONDER
まずは「Home Coming Song」から。いきなり音楽の持つ楽しさが溢れ出すような素晴らしい演奏。そこから基本的にはパスカルズの演奏→ふちがみとふなとの演奏(2人だけorパスカルズメンバーも一部参加)→パスカルズというような構成でした。昨日の話の通り、全編がっつりふちがみとふなとさんは出ていました。ふちがみとふなとのお2人は全然違和感がなくて、見事に溶け合っていたのが印象的。
最初のハイライトは第一部最後の「El Don Gavacho」だったと思います。石川さんがおもちゃのラッパを吹きながら純子さんを威嚇する。それに反応した純子さんもラッパで石川さんを威嚇。ステージの両端からの威嚇合戦に「ガバチョ!」のコーラスが入る。思わず手拍子でこの空間に参加するお客さんの姿も印象的で、最高級の楽しい空間ができあがりました。で、とうとうステージを降りて、客席を練り歩く石川さん。純子さんも負けじと客席に降りてきて、ステージ後方で取っ組み合いが始まる。そのまま2人はふちがみとふなとステージまで行って一緒にコーラスをするというよくわからんが楽しすぎる展開でした。そんな感じで第一部は終了。
第二部は「6がつのうた」から。ウクレレやバンジョー、パーカッションも加わって、この歌の持つ楽しさやどこしれない希望がより伝わってくるような気がしました。そして、第二部のハイライトはやっぱり後半。「ファンファーレブーメラン」と「Go! Go! マングース」の流れでした。「ファンファーレブーメラン」中盤のソロ回しで、パスカルズメンバーのソロが終わり、ロケット・マツさんが船戸さんを指名。びっくりしながらも船戸さんはソロをこなし、ほっとしたと思ったらまた指名される…。そんなことが何度かあってから、次は純子さんが指名され、焦りまくりの純子さんは即興で歌って対応してました。やっぱりそれが何回かあってどんどん焦る純子さんの様子が面白かった。そんで、石川さんがピアニカを吹きだし、知久さんの頭に鍵盤をこするつけたり。自分の頭でも演奏し、とうとう最前列のお客さんの頭でも演奏するという流れでした。こういう垣根のないパフォーマンスと、これが許されるキャラの石川さんの愛されかたがよいです。
そのまま昔の特撮主題歌みたいな「Go! Go! マングース」へ。曲調は完全に特撮なのに、「Go! Go! マングース」って…。このタイトルの時点で楽しすぎるわ。曲の真ん中、ステージ中央に来て困った純子さんは「困ったらシャーッ!ってやりまんねん」と手を前に出してのシャーッ!コールアンドレスポンス。みんなちょっと困ったような顔で、謎な空気感もありましたが、客席も含めて手を出してのシャー!コールは楽しかったです。そして最後は「花火」。悲しさや哀愁を感じさせながらも、情熱や力強さがあるとびっきりの演奏で本編は終わりました。
もちろん、お客さんはアンコールを望み、それに応えてくれるメンバー。純子さん、知久さん、あかねさん、石川さんとワンコーラスずつ歌う「WONDER」。今まであった楽しい気持ちやちょっと悲しい気持ちも全部ひっくるめて幸せに昇華されたような感動的な演奏で、終わった後はこれ以上ないくらいの満足感でした。
という訳で、2日続けてパスカルズを観たのです。おもちゃの楽器やトイピアノなんかも普通に使う自由さや楽しさ、ちょっぴり泣けてしまうような悲しさや寂しさもあるんだけど、そんなのも全部受け止めて幸せな感覚に変えてくれるところが本当に素晴らしいと思いました。多分、それぞれのメンバーのパーソナリティが溶け合って、それをバンマスのロケット・マツさんがまとめるようなところにある気がしました。これだけの人数のバンドが奇跡的なバランスで成り立っている。
2日目の帰り、ズボンやシャツがズブ濡れになりながら「傘とは何か?」と考えながら家路に向かう途中で「また、絶対に観たいな」しみじみと思ったのでした。