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企画したイベントや、行ったライブのレポなどが書かれていると思います。

9.14 『早川義夫とJOJO広重の世界』(早川義夫+熊坂るつこ、JOJO広重+穂高亜希子) /梅田ムジカジャポニカ

早川義夫さんが関西でライブするということで行ってきました。共演が昨年名古屋で観た熊坂るつこさんでさらに嬉かった。名古屋で初めて観たときの衝撃は忘れられない。さらに、JOJO広重さんに穂高亜希子さんという組み合わせにもワクワクしていた。

少し予想はできていたけど、開場時間に到着したら多くの人が列をつくって待っていました。15分くらいかかってなんとか中へ。ステージ前に長いすが並べられる最近のパターンで、思うように動くことができず、晩御飯を食べるのを諦めた。ムジカジャポニカのちびっこい空間にどれだけの人がいたんだろう。とりあえず一番前の列の端っこが空いていたのでなんとか滑り込み、開演を待ちました。


JOJO広重穂高亜希子
照明が落ちてJOJO広重さんと穂高さんが出てこられました。広重さんがイベントの進行を説明されて1曲目へ。意外にも広重さんがボーカルではなく、穂高さんの『みんな夢でありました』のカバー。そっと1音1音紡がれていくアコースティックギターの音に穂高さんの透き通るような声が素敵でした。広重さんのギターも穂高さんの歌に花を添えるようなものだった。非常階段の印象がとても強いから「この音にどうやって合わせるんやろう?」と疑心暗鬼やったけど…すみません。

そのまま穂高さんが数曲。基本的には広重さんはあまり主張せずに寄り添うような演奏だったけど、ときおり響く轟音ギターがいいアクセントになってました。ちょっと音がデカすぎて浮いてしまっていた印象があったのが少し残念でしたが。

中盤は広重さんがボーカルをされていました。穂高さんはベースに持ち替えて演奏。この中盤は音量もエレキギター用で、けっこう大きめ。穂高さんがその華奢な腕で叩きつけるようにベースを弾いていたのが印象的でした。

後半、2曲ほど熊坂るつこさんも参加されての演奏。スペースが狭かったからか、ちょっと控えめな演奏だった気がしましたがよかったです。広重さんのMC「非常階段に誘ったけど、存在を知らなかった」というエピソードにちょっと笑った。「入っても聞こえないよね」って、そういう問題なんやろか(笑)

最後は穂高さんがアコギに持ち替えての演奏。再度穂高さんが歌い、広重さんが伴奏とコーラス。静かな演奏から激しくギターをかき鳴らしていたアウトロへの流れというか、展開がとてもよかったです。

曲間の雰囲気もよくって、いい具合に力が抜けてリラックスムードでした。「次は何だっけ…」と譜面をパラパラめくってみたり、1曲飛ばしてしまいそうになった広重さんをたしなめる穂高さんとの空気感が好きだと思った。一瞬、娘にタジタジな父娘に見えたりしました。


早川義夫+熊坂るつこ
ステージをセッティングし直して、スッと早川さんとるつこさんがやってきました。特に前置きもなくいきなり『ラブ・ゼネレーション』。場の空気がきゅっと締まって早川さんとるつこさんの世界が広がった気がしました。

演奏が終わって早川さんがポツリと一言、そのまま次の曲へという流れで立て続けにライブは進行していく。前半では『純愛』から『パパ』への流れがよかったです。『純愛』の無垢な歌に泣いてしまいそうになり、そこから『パパ』の黒く狂気的な、それでいてどうしようもなく悲しくもある歌にまたしても泣きそうになった。この2曲で感情をぐわんぐわんと揺さぶられた後の『猫のミータン』でちょっと一息。いつのまにかこわばっていた顔が少し緩んだ気がします。

中盤でやってくれた『この世で一番キレイなもの』は自分の今の精神状態とシンクロするところがあって沁み込み過ぎました。

ずっと意識を耳に集中させながらライブを観ていた…というより、じっと音を聴いていたけど、ラスト手前の『H』、最後の『君でなくちゃだめさ』で手を叩いてお客さんに拍手を促するつこさんを見てライブを観るモードになれました。これがなかったら気を張りすぎてよかったけど疲れたみたいな気持ちで終わってしまったかもしれません。

で、アンコールは出演者全員で『サルビアの花』。やっぱりというか予想通りだけど、早川さんのピアノに広重さんのやさしいギターの音が沁み込むように聴こえてくる。歌の区切りごとにボーカルが代わっていったのもよかった。

一応、これで終わる予定だったんだけど、アンコールの拍手が鳴り止まないために再度みんなで登場。「何をやりましょうか?」と考えたり、お客さんにリクエストを募るも最終的には『からっぽの世界』をやることに。多分、穂高さんは初めて(曲自体を知らなかった?)だろうけど、すっとコーラスを重ねるところが素晴らしいと思いました。広重さんのギターが深海の底で何かが鳴いているようでちょっとした怖さもあり…でした。

早川さんの演奏も歌ももちろん素晴らしいんだけど、とにかく熊坂るつこさんの演奏がとてつもなかったです。小さく可愛らしい女性なのに、曲が始まると全身で音を表現していた。動きと音のシンクロ度合いがすごくて「この人は今、音楽になっているんじゃないか」という気さえしました。静かなところ、激しく動くところと触れ幅が広くて、早川さんの歌と曲の躍動感が何倍にもなっていたと思います。聴いている自分の感情も振れまくっていました。

そういや、こちらもステージ上のお2人は父娘のようないい雰囲気でした。

また、観に行きたいです。