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企画したイベントや、行ったライブのレポなどが書かれていると思います。

20180610 高円寺百景 / 難波ベアーズ

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何かで不意に見た「高円寺百景」の新譜発売記念ライブ。関西公演は難波ベアーズということで、行く以外の選択肢はありませんでした。

 

早めに難波に到着したものの、のんびりしすぎたせいで、会場に着いたのは開演5分前とかでした。今回は、椅子席と立ち見の2パターンあって「高円寺百景なら椅子だな」と椅子を予約して受付を済ませました。そのとき「椅子席は自分で最後や」みたいなこと言われたから、恐る恐る入って様子見たら、空いてる椅子が4つくらいありました。このアバウトさに安心しながら、適当なところに座って開演待ちです。で、5分押しくらいでライブは始まりました。

 

今回の演奏は二部構成で、第一部が旧譜からの曲。第二部は新譜からの曲という構成でした。第一部は比較的耳に馴染みがある曲が多め(ライブ見ながら「俺、4枚目持ってない」とショック受けたりもしてた)。確か、最初は「Becttem Pollt」だったかな。耳に馴染んだ曲のはずのに、生演奏特有の「揺らぎ」みたいのがあって、とても新鮮に聴こえました。数曲やって吉田さんから曲のタイトル紹介がある、そして次の曲へ…という丁寧な進行でした。曲の間は終始和やかなんだけど、曲が始まると、拍子の頭がどこかさっぱり分からない強烈な曲のオンパレードです。踊れる曲と紹介されたものが7拍子だったのには笑いました。メンバーのMCで「飛んでたらどこかで拍子が合う」とか「全部1拍子と思えば大丈夫」みたいなことも言ってたり。実際、曲自体は難解で全く展開が読めないんだけど、あまり深く考えずに自然に耳を任せていくと確かに踊れるし、ポップなんですよね。この辺のバランス感覚は本当に素晴らしかったです。

 

そして、新譜からの曲が披露された第二部。第一部で演奏された旧譜の曲は、比較的ダウナーなものや、ロックテイストなものが多い印象がありました。新譜の曲については、スカッと明るいものが多い印象でした。ヘビィな音色で、激し目の雰囲気の場面でも、一種の突き抜けた明るさや軽やかさがあったように思いました。この辺は、現在のメンバーの資質が現れているのでしょうか。これまでの音源とは違った世界が開けて、とても新鮮でした。

 

で、アンコールです。演奏された曲は「Sunna Zarioki」で、まさかのお客さんがコーラスで参加する客席参加型の演奏となりました。東京ではいきなりやって「練習したかった」という声があったらしく、今回の大阪ではしっかり練習タイムあり。お客さんも思ったより乗り気で、練習、本番と元気よく楽しい感じでした。そして、ダブルアンコールがあって、1曲丸々は無理だったので、できそうな曲(何かは忘れた)の後半部分やって大団円で終わりました。

 

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ちょっと古い映像だけど

 

この日のライブでとても印象的だったのは、メンバーの楽しそうな様子や熱量が自然と客席に伝わってきたことでした。頭がおかしくなりそうな曲ばかりで、普通なら楽譜をなぞるだけになりそうなものなのに、完璧な演奏に加えて生演奏ならではの活きた演奏であって、本当に素晴らしかったし興奮した。そして、楽しかった。アンコールのコーラス参加は、そんなメンバーの空気が伝わったからあんなに自然に行えたのかなと思いました。

 

なかなか頻繁にはライブをしないバンドだけど、毎年1回くらいはライブ観たいな。

20180603 NANI∞GURU、吉田達也+TIM DAHL / 彦根ダンスホール紅花

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この日はたまたま予定が空いていたので、大好きな2人である砂十島NANIさんと河端一さんのユニットNANI∞GURU国内初ライブに行ってきました。もちろん、2日前に観てぶっ飛んだ、吉田達也さんとTIM DAHLさんのデュオも楽しみでありました。また、会場が紅花というところが良いですね。2年くらい前に数えきれないと柴田聡子さんを観に行って「面白いところだな」と気に入ってしまったところです。

 

お昼開催だったので、途中で昼ご飯でも食べながらゆっくり行こうかと思って出たんだけど、すっごい中途半端な時間&彦根にサッと入れるお店がなかったら嫌やなと思ってしまったせいで、京都駅の立ち食いうどんで昼を済ませる悲しい案件が発生。そして、彦根についたら思ったよりサッと入れそうなご飯屋が多くて、また悲しみ。かいじょう40分前に彦根駅にいるという最高に中途半端な状態でした。しょうがないので、開場までゆるゆると歩いて行きました。

 

開場時間を少し過ぎた頃、近くまで着いて「場所はどこやったかな?」思ったんだけど、爆音リハーサルの音が聴こえてきて迷わなかった。で、会場まで着いたら「リハーサル押してます」の案内が。結局、30分押しで開場となりました。この人たちなら怒る気も起きないのが不思議。場内に入って、ビール飲みながらのんきにしていると、おもむろに演奏が始まりました。

 

NANI∞GURU

リハーサルの音が聴こえていた感じでは、けっこうポップなものかなと予想していたんだけど、実際は全然違いました。NANIさんの手数多めなドラムが炸裂。河端さんは特大の音量で出してはいけない音をたくさん出していました。スタインバーガーのギターと多分シンセなんかな?を使い分けて、ノイズから宇宙っぽいサウンドまで巧みに操ってました。

 

演奏自体は、即興っぽい気もするけど、一応、曲のかたちがありそうでした。ガチガチにフォーマットが定まっているのではなくて、ある程度申し合わせがあるのかなという感じ。前半はノイズ成分多めのロックサウンドで、中盤にシンセの電子音が印象的な展開から静かなサイケデリックなものへ。そして、後半に向かうにつれて再度テンションが上がっていき、テンポ速めなコズミックファンキーなサウンドへと昇華されていきました。約40分、その音量と音圧、曲展開の全てが凄まじい、驚愕の演奏でした。あまりの演奏に、一瞬意識が飛んだ。

 

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吉田達也+TIM DAHL

この日も、RUINSとCHILD ABUSEの曲を演奏されてました。吉田さんの千手観音みたいな圧倒的なドラム。しっかりと重さがありながら、空気を切り裂くようなしなやかさもあるのが本当に素晴らしいです。TIMさんのベースも「これはベースの音なんか?」って音。バカみたいなテクニックと音で、ずっと唖然とさせられてました。爆走する場面と、スピード落としてサイケに行く場面としっかり緩急もついていて、さすがです。あと、曲展開は全く予想できないんだけど、意外と聴きやすいというところが素敵です。

 

マイクの調子が悪かったのか、演奏中にけっこうハウリングがあったところだけが、少し残念だったかな。

 

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吉田達也+TIM DAHL+河端一+砂十島NANI

最後は全員でのセッションタイムでした。まずは吉田さんとNANIさんのツインドラムから。洪水のように攻めてくる太鼓の音の嵐にいきなり度肝抜かれました。途中でNANIさんのシンバルが倒れてしまって、NANIさんが吉田さんのシンバルを叩くような場面もあって、可笑しかったです。

 

約3分くらいかな。ドラムセッションの後に全員そろっての演奏スタート。今回、2組の楽器の配置が対角線上になっていることもあってか、向かって左側の2人(TIMさん、NANIさん)→右側(吉田さん、河端さん)で交互にやりあう遊びを何度か。その後、全員での演奏となりました。

 

多分、20分だったと思います。鬼神のような圧倒的手数のツインドラムをバックに、TIMさんがヤバ過ぎるベース、河端さんの極上サイケ&ハードなギターが合わさり、押し流されそうな演奏にぶっ倒れそうになったりでした。2日前との比較で言うと、こちらは「キチンとセッションになっていた」というのが印象的でした。全員がいい距離を保ちながら、凄いレベルでばっちり噛み合ってた気がします。

 

んで、アンコール。お客さんもお店も熱烈にやってくれということで「15分休憩してから、5分くらいのお願いします!」と頼んだら、「何で15分後なん?すぐの方が楽や」という鉄人河端さんの反応のあって、そのままもう1本。こちらは短めだったけど、さっきとは違ったアバンギャルド展開で面白い演奏でした。

 

イベント通しで2時間くらいかな。お腹いっぱいな濃厚演奏ばかりの素晴らしい一日でした。夕方に終わるのも次の日に支障が少なくて助かります。紅花は、自分好みの面白いイベント盛りだくさんなので、ちょくちょく行けたらいいな。

20180602 頭士奈生樹「IV」発売記念ライブ( 頭士奈生樹 with 渚にて、山本精一) / 難波ベアーズ

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頭士奈生樹さんのソロアルバム「Ⅳ」の発売を記念してのイベントに行ってきました。頭士奈生樹with渚にて、ゲストに山本精一さんということであれば、行かない以外の選択肢はありません。

 

同じ気持ちのお客さんが多数いたので、開場時間の20分ほど前に着いたのですが、入り口階段は開場待ちの人でいっぱいでした。徐々にお客さんも増えてきて、会場前ではスペースが無くなってきたので、ちょっとだけ早めに開場してました。結局、100人近い動員で、大入り満員となったみたいです。そんな状況もあってか、ベアーズにしては比較的早めな5分押しくらいで始まりました。

 

 

山本精一

昨日の狂った演奏とは違って、この日はアンビエントなアプローチのソロギターでした。まずは、少し籠ったような音像の美しいギターの音色が紡がれ、徐々にギターの低音が場内を満たしていきながら若干ノイジーな音も出てきたり。真っ白なキャンバスに色を塗り足していくような演奏だったように思いました。その後、後半に向かうにつれて、キラキラ輝くような音のフレーズが姿を現し、心が綺麗に満たされ、地中のマグマを思わせる大音量のノイズがすべてを洗い流し、約30分の演奏は終わりました。展開やストーリーがある、素晴らしい演奏でした。

 

 

頭士奈生樹with渚にて

まずは、頭士さんひとりでの演奏から。ところどころループなんかも使いながら紡がれているギターの音は、自分の感情の中に直接響いてくる感覚がありました。ソロでの演奏は、音量もそれほど大きくなく、自分の内面と向き合うようなものだったように思います。ステージから聴こえてくるひとつひとつの音に意識を集中して、感情の動きとシンクロさせていったりしてました。

 

30分ほどソロで演奏された後、渚にてのメンバーを呼んでバンドスタイルでの演奏でした。渚にてのメンバーが、曲のベースをしっかり組み上げながら、いつまでも続いて欲しい頭士さんのギターが満員の会場を満たしていく。核になる部分は変わらず、バンドスタイルの演奏だからか、世界が開けたような感覚があり、大音量のサウンドに身体と心で反応する感じ。シンプルで力強い、これしかない演奏でした。

 

また、曲の構成も素晴らしくて、ちょっとずつアップテンポになって音に清々しい熱量を帯びていく感じが最高でした。頭士さんのボーカルに、柴山さんがコーラスで被せた瞬間の感激も最高だった。そして、本編最後の爆音のノイズパートの素晴らしさと言ったら。ザラザラしたノイズから、次第に曇りのない美しいキーボードの音が混じっていく流れ。あまりに美し過ぎて、音楽の桃源郷に辿り着いてしまったような気がしました。「このまま死んだら、さぞ安らかに逝けるだろうな」とか思ってしまう程に。

 

そして、アンコールにも応えてくれました。ダブルアンコールを求める拍手も鳴り止むことはなかったのですが、さすがにこれは無しでした。

 

こんな風に書き連ねてはみたけど、言葉にならないほど素晴らしいライブでした。このメンバーでの頭士さんのレコ発東京を10月にやるみたいです。スケジュール調整中らしいので、情報が出たら行ってみたら良いのかなと思います。絶対に世界が開けると思うので。

20180601 テイムダール×吉田達也×山本精一、吉田達也×宮本玲 / 京都 外

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平日だから、ちょっと悩んでいたんですが、月初だし大丈夫だろうと予約してみました。結果的には大正解でございました。

 

開場時間を少し過ぎた頃に会場へ。既に10人近くの人が並んでいてびっくりしたりでした。中へ入り、少しあった椅子席2列目に座って開演を待ってました。徐々にお客さんが増えていって、そこそこ埋まっていた感じだったかな。

 

10分遅れくらいで開演となり、吉田さんから本日の流れが説明されました。まずは「吉田達也×宮本玲」、次は「テイムダール×吉田達也」、最後は「テイムダール×吉田達也×山本精一」という3部構成とのこと。説明からそのまま演奏へと流れていきました。

 

 

吉田達也×宮本玲

吉田さん(Dr)とVampilliaの宮本さん(Vl)で是巨人の曲を演奏してました。宮本さんは何度か是巨人のライブにゲスト参加されていたことがあって、演奏力などに申し分ないはずですが、デュオということでちょっと不安があったり。でも、そんな不安は一切無駄でした。

 

アホみたいなユニゾンパートというところは、要所要所でループを上手く使うことで結構カバーできていて、ヴァイオリンの旋律で思いの他ポップなメロディーがくっきりと聴こえてきて、是巨人の楽曲を違った角度から見ることができて、面白かったです。

 

手数が多く、切り裂くような吉田さんのドラムと、美しくも力強い宮本さんのヴァイオリン。この演奏だけでも来て正解と思えるものでした。演奏時間が20分くらいと短かったことだけが少し残念ではありました。

 

 

テイムダール×吉田達也

第2部.デュオでほぼ曲をやるとのことで、RuinsやChild Abuseの楽曲などが演奏されたのかな。

 

テイムさんはフレットレスベースに大量のエフェクター繋いで、ありえないレベルのヤバい音を出しまくってました。こちらの演奏は、先ほどの爽やかさもあったものとは全く別のハードコア全開の爆音超テクの爆裂サウンド。あえて例えるなら、Lightning Boltっぽい音だった感じです。

 

むちゃくちゃ複雑怪奇なハードコアサウンドの洪水を浴びさせられ、あまりの凄さに椅子から転げ落ちそうになることが何度も。そして、凄過ぎて思わず爆笑してしまったりでした。恐ろしい手数の吉田さんのドラム。それに全然負けない手数たっぷりのゴリゴリベースと、フレットレス独特の音がにゅっと上がっていくところが快感だった。こちらも20分くらいの演奏でした。もうちょっと聴きたかったな。

 

めちゃくちゃ好きなタイプのベースで、音源買いたかったけど、CD持ってくるの忘れたらしくて、買えずに残念でした。

 

 

テイムダール×吉田達也×山本精一

第3部は山本精一さんも加わってのトリオ。完全即興だったと思います。山本さんは、セッティング中に出してたギターの音がヤバい感じだったんですが、淡々と準備してた。

 

セッティングも終わり、一旦ハケてすぐに3人で出てきました。そしたら、山本さんのテンションがぶっ壊れてました。いきなり叫んだり、すっごいヘラヘラ笑いながら客席見てたり、フィンガーイーズの缶を投げつけたりと、お客に危害を加えそうモードでした。その様子を見て「出ましたね」と笑ってる吉田さんも怖いわ。

 

そんなテンションで始まった演奏がつまらない訳はなく、いきなりテンションMAXなぶっ壊れたロックサウンド全開で最高でした。アンコール込みで50分くらい。4パートくらいの即興演奏だったかな。多くの場面で山本さんが暴走していて、それをあとの2人が乗っかりながらさらに暴走させていくような演奏でした。アンサンブルが溶け合うようなものではなく、それぞれの音がガチガチにぶつかり合うことで、結果的に気持ちよく聴こえて成立する、そんな演奏だったように思いました。

 

本当は3パートくらいで終わりにする予定だったと思うんですが、曲が終わって様子を伺いだしたところで、山本さんが演奏を始めてそのまま即興へなだれ込む嬉しい誤算があったり。アンコールでは、270度くらい回転して、あらぬテンションとなっていた山本さんは、椅子から立ち上がって、ギターを振り下ろしながらいつまでも終わらないキメを連発していたり。

 

しかし、本当に凄い演奏でした。3人という人数と、この組み合わせだからできた演奏だったとはっきり感じる素晴らしいものでした。即興演奏は、人数が増え過ぎると、互いの距離感が狭まったり、遠慮が出てつまらなくなると思っています。3人までだと各々のプレイヤーが自由にできる幅もあって、それに乗ったり、違うアプローチでつついたり、そのときのテンションや演者の音楽性がアンサンブルに現れやすかったりと演奏が生きるんですよね。今回は、まさにそんな演奏だったように思いました。混沌の中にも幅広い音楽の片鱗が見え隠れしていて。そして、山本さんのあの暴走をサラッと演奏として成立させることができる吉田さんとテイムさんにも脱帽な夜でした。あんなん、その辺のプレイヤーだったら裸足で逃げ出すやろう。

 

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テイムさんが参加されてるバンドかな

 

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で、外は本当にいいハコだなと思ったりです。音の良さはもちろん、演奏中に写真撮りまくるような人もいないし、いつも「音楽を聴きにきている」お客さんが集まっている印象があります。やってるイベントも面白いし。ちょっと遠いのがネックですが。

 

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ライブの後は、みみおで中華そば食べて、ちょっと酔いも進みながら、週末の疲れを連れて爆睡することができました。

20180526 NOISE MAY-DAY2018(GRIM、Controlled Death) /難波ベアーズ

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なんだかんだで10年以上ほぼ毎年行っている難波ベアーズの恒例企画「NOISE MAY-DAY」。5月は、土曜が出勤になる日があったり、MDTと被ることがあったりで、たまに行けないんだけど、今年は無事行くことができました。

 

今年のメンツは、主催である山崎マゾさんの新ソロプロジェクト「Controlled Death」と80年代の伝説のノイズバンド「GRIM」の2組。ヤバいことになるのは予想できますが、「ヤバそうだな〜」以上のことは分からずに会場へ。

 

気持ち早めに向かったんだけど、けっこうな数のお客さん。自分が着いたときには前方半分は埋まっていたかな。そのまま徐々にお客さんが増えていって、開演のときには、ほぼ満員でした。

 

Controlled Death

ステージ後方のスクリーンには赤ベースに黒文字でロゴが、ステージのいたるところで蝋燭の形をした照明が置かれていて、独特の緊張感と不穏な空気がありました。

 

ステージの様子があんまり見えなくてよく分からなかったんだけど、多分サンプラーかな。砂嵐みたいな電子音に断末魔みたいなノイズ、そこにマゾさんのヴォイスが乗っかる感じでした。ノイズとは書いたけど、よくある「ノイズ」とは一線を画したものでした。何と言うか、宗教チックでホラーな感じ。実際、音を聴きながらずっと荒れた廃墟や拷問所、そこで処刑される人や死体の絵がずっと頭の中に浮かんでいました。そんな映像を浮かべながら、ときおりふいにやってくる異常な音量で襲ってくる高周波のノイズ音。耳を突き抜けて、三半規管に直接突き刺さってきて倒れるかと思った。何人ものお客さんが耳を塞いでいたのが印象的でした。

 

MASONNAのようなロックで瞬発力あるものとは違った、深い絶望の底にあるようなステージは、今のマゾさんだからこそ表現できるものなのかなと思った時間でした。本当に凄かった…。

 

 

GRIM

敢えて事前に動画や音源で知ることを止めて、完全初見の気持ちで観てみました。

 

サンプラーで流しているのか、パイプオルガンの神聖な響きから徐々に地獄のようなノイズギターのサウンドへ。太鼓(ドラム)の音がリズムを紡ぐことで、ヤバめな集まりのお祭りみたいな雰囲気になってました。んで、後ろの方からチャラチャラと音が聞こえてくるから見てみたら、ボーカルの方が鈴が中に入ったアルミ缶をお客さんに配りながら出てきました。そこから、鈴の音、メタルパーカッションの硬いリズム、ギターのノイズが会場内で響き渡り、お祭りの雰囲気でした。パーカッションの音があるせいか、けっこうリズムに乗れたのも面白いところでした。

 

出てる音は地獄だったんだけど、お客さんも鈴を振りながら演奏に参加していて、ノイズライブではないような不思議な一体感が生まれてました。終わってみると、何とも言えない高揚感と楽しさがあって面白かったです。

 

 

という感じのNOISE MAY-DAY。毎年面白いミュージシャンを知れたり、新しい発見があったりで楽しいです。また来年も行けるように願ってます!

20180520 割礼、ヰタ・セクスアリス、tepPohseen /難波ベアーズ

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ベアーズで割礼のライブがある。対バンは、ずっと観たかった福岡のtepPohseen。須原さんがされてて、これまた観たかったけどタイミングなかったヰタ・セクスアリスと申し分ないものだったので、行く以外の選択肢がありませんでした。繁忙期で身体はボロボロだったけど、行く以外なかったです。

 

事前にオンタムで始まる旨の告知があったので、気持ち早めに会場へ。相も変わらずあんまり人はいませんでした。でも、ちょっとずつお客さんは増えていって開演時間には沢山の人で埋まってました。

 

tepPohseen

ずっと名前は知ってて気になっているバンドのひとつでした。志賀さんがドラムで入ってて、埋火のライブ以来観るので、そこも楽しみのひとつでした。

 

1曲目のインスト曲から一気に持っていかれました。退廃的で物悲しくてとても危ういメロディーに深いリヴァーブかかったヤバめなギターの音が好き過ぎました。次の曲からはボーカルもあったんですが、素っ頓狂な声と歌い方が、バンドサウンドの危うさを一層際立たせていました。その後の曲も、4つ打ちでキャッチーなもの(志賀さんメインボーカルでとても良い声)や、クリーンなギターが優しいものなど、バリエーションもしっかりありながら、全体に漂う不穏な感覚や危うさはとても癖になる。気持ち長めな40分くらいのステージでした。

 

MCはゆるゆるだったのも良かったです。帰りにCD買ってしまいました。また観たいなー!

 

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ヰタ・セクスアリス

メンバーの衣装の感じで、サウンドが大体イメージできる。艶っぽいキーボードの音とと、ときにファズファズしたギターとグルーヴィーなリズム。とても聴きやすいんだけど、ちょっと感じる違和感。「あの時代の空気はこんなのだったのかな?」と思いながらも、今のバンドとして存在していることが何だか嬉しい。そんな演奏でした。

 

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割礼

この日は90分のロングセットでした。最初の音で、割礼のそれだと分かる。シンプルなんだけど、ねっとりとした割礼の音。宍戸さんのボーカルが入ると、さらにねっとりとして、音楽を愛撫しているみたいだった。ギターやベース、ドラムが楽器を愛でるような感じで音を出している気がして、そんな風に見えるから、そこら辺のバンドでは絶対出ないような色気があるんだろうなと思ったりです。スローなテンポで紡がれる音に身を任せているときに感じる陶酔感。これが本当に気持ち良くて、本編最後の曲の無限にも聴こえたギターソロで完全に昇天してしまいました。何度も落ちそうになったり「永遠に続けこの時間」と思えるくらいの恍惚とした時間でした。

 

ロングセットじゃないと、この境地まで上り詰めることはできないと思うから、本当にありがたかったです。

 

 

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ライブが終わったら、完全に生気抜かれた状態になってました。それぞれのバンドがそれぞれ面白くて良くて、身体は疲れていたけど、心地よい疲れに変わっていました。

20180513 内橋和久 / 大阪音凪

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この日は、アルタードステイツやUAのプロデューサーとしても知られる内橋和久さんのソロライブに行ってきました。

久しぶりに観たいなと思いながら、内橋さんのサイトを見てみると、大阪でのソロがあったので、ポンと予約したのです。

 

当日はあいにくの雨模様でしたが、アーケードのある天神橋商店街を抜けて会場へ。開場時間を少し過ぎ、お店に入りました。とても小さな店なので、どの座席にいくかは非常に悩ましい。今回は内橋さんのライブが久しぶりということもあって、前でかぶりついて観ることにしてみました。通路の一部にギターと機材、ダクソフォンが置かれていました。

 

開演時間の30分程前に外に出てた内橋さんが戻ってきて、常連さんと思われる方と談笑してた。そんで、オンタイムでスタートとなりました。今回のライブは、大きく2部構成でした。

 

第1部

アンビエントテイストな深く美しいフィードバックから、ギターで紡がれた少し奇妙なリズムへと変化していきます。個人的には、深い夜の森の中にいるような、深夜の機械工場にいるような…不思議な映像が浮かんでくるものでした。そこからちょっとだけノイズパートを挟んで、ダクソフォンを加えていく。打楽器的に扱ってリズムを作り、その後に動物の鳴き声みたいな展開から徐々にギターが浮かび上がってくる様な展開へ。ギターと言ってもシンセみたいな電子音成分多めでした。そして、最後は「ギターらしい」クリーントーンで終わり。約45分くらいの演奏でした。

 

 

第2部

15分くらいの休憩を挟んでからの第2部はダクソフォンソロからスタート。人の声みたいな音でベースを作りながら、ダクソフォンを叩いて太鼓チックな音を重ね、弓を使って弦楽器のようなアプローチも。この辺は、原住民集落の夜みたいな映像が浮かんでました。約10分の演奏。

 

次のダクソフォンソロは、打楽器的なアプローチ強めで、ノリが良くて、宴のような雰囲気がありました。15分くらいだったかな。最後は少し楽しげな感じだった気がします。前半は静かだったんですが、ダクソフォンのリズムを残しながら後半に向かうにつれてギターへシフトしていって、最後はコズミックなギターサウンドが自分の身体を貫き、第1部の始めのような展開にて終了となりました。20分くらいの演奏だったか。

 

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通しでは約2時間のステージ。本当に凄かったです。使った楽器はギターとダクソフォンとエフェクター。たった1人でこんなに鮮やかで色んな音像を見せてくれるのかと唖然としてしまうくらい。ギターなんて、ギターっぽいアプローチもあったけど「それ本当にギターで出してるの?」って言いたくなるような音も飛び出しまくり。それでいて、最初から最後まで聴きやすく退屈にならなく、世界観がしっかりある演奏に脱帽でした。

 

帰り道でボーッと「内橋さんは音楽家なんやなー」と思ったりです。「この人はどんな楽器使っても(むしろ楽器じゃなくても)観客を惹き込む音楽を生み出すことができるよな」と、物販で買ったダクソフォンソロのCD見ながらしみじみ思ったのでした。