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企画したイベントや、行ったライブのレポなどが書かれていると思います。

4.13 (ゑでぃまぁこん、山本精一) /難波ベアーズ



この日はベアーズで行われたこのイベントに行ってきましたよ。チラシかTwitterで知って、即座に予約をしたイベント。前にこの組み合わせでムジカジャポニカで観て最高だったので、期待大でした。

なんとなく大勢の人が来そうな気がしたので、開場10分程前に行ったら、既に何人か並んでいて「やっぱり」という感じ。ベアーズは慣れているお客さんが多い印象があって、開演に間に合えばいいというお客さんが多い気がして開場待ちってそんなにないのですが、稀にこういう日がある。その辺の感じがわかってきて嬉しいような…不思議な感じでした。そんな感じなので、ほぼ満員の場内。前列は地べたに座り、後方は立ち見という状況です。自分は座って観てました。

この日はめずらしく開場が20分ほど押したんだけど、開演は20分押しくらいのベアーズ時間でスタートでした。

山本精一

そんなに前振りなくてなんとなく出てこられました。この日はエレキギターの歌もの弾き語り。足下には10個弱のエフェクターが並んでいます。

ステージ中央の椅子に座り、ギターを爪弾く。で、スッと譜面台に置かれた楽譜の1枚目を横へやっていました。歌い出しを忘れたのでしょうか。それから「こんばんは」とボソリとつぶやき引き続き演奏を続けていました。まず演奏されたのは「鼻」でした。ディレイをかけて音がぼんやりと広がっていくギター。そこに淡々とした山本さんの歌が合わさり、トリップ感ある音像が浮かんでくる。それからも1曲歌っては楽譜を横へやり、淡々と演奏を続けていました。今回はディレイやリバーブをかけたものが多くて、違う世界へ連れて行かれるようなものが多かった印象がありました。その中で中盤に演奏された「めざめのバラッド」がちょっと異彩を放っていたような気がします。音像は同じなんだけど、この曲が持つ何かがあるのか、とてもダウナーなように聴こえました。約1時間のたっぷりとした演奏で、とても満足できました。歌ものは久しぶりだったので、それも本当に嬉しかった。

目の前で本人が歌っているのに、本人は存在しないような感覚。人の「存在」というものがなくなって、歌だけが残る…こんな感じが唯一無二でした。で、音が気持ちよすぎました。間で何度か落ちてました。



ゑでぃまぁこん

観るのはけっこう久しぶりかな。ゑでゐ鼓雨磨さんの澄んだ伸びやかなボーカルが本当に素晴らしいです。歌声の奥に悲哀のようなものも感じられるのもとてもよいです。

けっこう大所帯のバンド編成なので音の広がりもあって、なんか賑やかなようなんだけど、メロディーや音像が悲しくて不思議。ステージを観ながら静寂に包まれた夜の森林の中で演奏を聴いているような、そんな錯覚に陥りました。音で世界を作ってる。パッと景色が変わるようなそんな感覚を呼び起こさせるバンドってなかなかいないから、本当に凄い。

とにかく楯川さんのドラムがよかったです。そっと撫でるように演奏されていて、なんて心地よいんだろうと…。元山ツトムさんのスティールギターの音や水谷ペルサモ康久さんのフルート、サックスの音も沁み込むように自分の中に入ってきて、気持ちよすぎて夢の世界へ連れて行かれました。



山本精一ゑでぃまぁこん

全員で7人。ステージ上は身動きがとれないくらいの満員状態。楽曲はカバーがほとんどだったと思います。ゑでぃまぁこんの音と山本さんのギターの相性がとてもよくて、やっぱり別世界へと連れて行かれました。

個人的に嬉しかったのは後半の3曲。ジャックスの「時計をとめて」、ya-to-iの「空の名前」、ゑでぃまぁこんの「とらとらいおん」の演奏でした。ぼんやりと浮かび上がるように、じわりと滲むような音像が気持ちよすぎてなんだか泣きそうになってきます。感情を一切排除したような2人の歌い方は「歌詞」の言葉がスッと身体に溶け込んでくるようだった。

そしてアンコールでは「野の人の野のうた」が披露されました。この曲のメロディーラインはホント泣きそう。山本さんのリバーブがかった深いギターの音に吸い込まれながら、遠くで聴こえる歌…。このまま死んでしまってもいいかもしれない…それくらいのことを思わせる演奏でした。




この日のライブは、演奏中ほとんどずっと目を閉じて音に浸り、目の奥で浮かんでくる情景を見ていました。たくさんお客さんがいるんだけど、他の人はみんな消えてしまって、一人が切り離されて各々がじっくり聴いているような感じでした。素晴らしかったです。