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企画したイベントや、行ったライブのレポなどが書かれていると思います。

2.15 PIPA vol.1 即興一会(吉兼聡、山本精一、外山明、ナスノミツル) /六本木スーパーデラックス


現在、私は昨年10月から2ヶ月に1回のペースで千葉に出張となっている訳なのです。金曜はがっつり、土曜は昼過ぎまでと休みの日にまでかかるきっついスケジュールで、楽しみは出張後の関東ライブだけ…。そんな訳で、いろいろ調べていると今回のイベントが見つかり、2月のお楽しみはこちらとなりました。

研修が終わり、すっ飛んでとりあえず高円寺へ。ガイジンという可愛いがつまった古着屋さんにDJクリオネさんのmixCDが入荷したとのことで買いに行きました。女子力高すぎる店内&店員さん。スーツのおっさんが入るのはちょっと勇気がいりましたが、なんとか購入。柔らかい空気感で接客してくださって、ありがたかったです。んで、そのまま六本木へ。雪は降っていないとはいえ、まだまだ雪が溶けきっていない道を何度も滑りそうになりながら開場時間少し前に到着できました。

地下〜地上、2階まで開場待ちの列は続き、15分ほど遅れて開場。このイベントの期待値の高さを感じながら中へと入りました。



舞台はなく、前方の床に機材が並べられ、コの字型に椅子が並べられていました。即興演奏ということからか、山本さんの機材は多め。10個近くのエフェクターが接続されていました。吉兼さんもエフェクター多め。ナスノさんはマルチ1つくらいでシンプルな構成。外山さんのドラムは全体的に低めに並べられていました。シンバルがスネアとほぼ同じ高さというのが特徴的だった。自分は2列目に座って開演を待っていました。週末の大雪の影響か、店内のいたるところで雨漏りがしており、バケツが置かれているのが印象的。開演時間を15分ほど過ぎてふら〜っとメンバーが集まって演奏スタートです。


■第1部
最初は音も少なめでお互いの出方を伺うような演奏。ぽつりぽつりと紡がれるアンビエンスな音の余韻が眠りを誘う…。次第に誰からということもなく、ビート感が出てきてリズムを取れるような展開へと流れて行きました。ただ、そこは即興演奏。皆が同じフレーズと弾くということはなく、少し距離を取りながらなんとなくグルーヴを感じさせるような演奏でした。後半はそれほどテンポは出さないまでも、重たい展開もあったりと、幅広い演奏に耳を奪われて行きました。全体で40分弱の演奏でした。


■第2部
少しの休憩を挟んでから始まった第2部。吉兼さんはZAZEN BOYSでは見せることのないノイジーなサウンド。これに触発されたのか、ナスノさんはゴリゴリの音で対抗し、外山さんのドラムも一気に速度を上げていきました。山本さんは基本単音で、恐ろしい速度で指が動いていました。一瞬ライトハンドもやってたような…。中盤は山本さんの珍妙なギターフレーズがたくさん飛び出し、なんだかプログレ聴いてるような感覚でした。後半に差し掛かるところで山本さんがワウを使って超高速でカッティングに走るところがあったのですが、他のメンバーはあまり乗ってこず…。個人的には乗ってってくれてファンキーな展開に入ってくれるとよかったのにと思いました。

こちらも約40分くらい。第1部に比べるとわちゃわちゃとし、ハード展開に流れることが多かった気がしました。個人的にはこちらの方が好みだった。最後は山本さんがちょっと喋って終わり。


■アンコール
アンコールもやってくれたんだけど、こちらは正直出がらし感があったかな。本編で大体やりきった感じで「それ以外からのアプローチ、とやってみたけどダメでした」みたいな。これはこれで面白いところもありましたが…。最後の最後で外山さんが「カーリングの練習をして帰るように」という謎(?)の言葉で締めとなりました。


完全即興演奏のライブ。しかも、初組み合わせでのライブというのはかれこれ何年振りだろう。本当に久しぶりでした。個人的にこういう即興演奏は誰かが仕掛けていってそれに乗っかる…。というのが続くイメージなのですが、今回は各々がある程度距離を保ちながら自由に演奏している印象がありました。なもんで、展開もパチッと変わるのではなく、ゆっくり万華鏡を回しているようなイメージが浮かんできました。

また、今回のメンバーの凄いところは目をつぶって聴いていてもどれが誰の音かとはっきりとわかるところのような気がしました。音だけでその人が見えてくるというか。外山さんの独特のリズムの取り方。1音1音の速さ(外山さんのドラムは音の立ち上がりがとにかく速い。ゆっくりなテンポでもスピードを感じます)。山本さんのギターは言わずもがな。吉兼さんのギターもナスノさんのベースも耳に入れば「この人の音だ」と思える。これは本当に凄いと思います。

即興演奏は曲をやる普通のライブと違って終始盛り上がったりはせず、正直ダメな瞬間もありますが、会場の雰囲気や音の返り方、お客さんの空気なんかがストレートに演奏に反映されて、独特の緊張感や思わぬ展開になることも多くて面白いですね。多分、同じメンバーでもベアーズでやったら全然違った展開になるだろうし。そんなところも面白いと思いました。

ライブ後もいろんな方とお話しできてそちらの意味でも楽しい時間が過ごせました。