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企画したイベントや、行ったライブのレポなどが書かれていると思います。

20180520 割礼、ヰタ・セクスアリス、tepPohseen /難波ベアーズ

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ベアーズで割礼のライブがある。対バンは、ずっと観たかった福岡のtepPohseen。須原さんがされてて、これまた観たかったけどタイミングなかったヰタ・セクスアリスと申し分ないものだったので、行く以外の選択肢がありませんでした。繁忙期で身体はボロボロだったけど、行く以外なかったです。

 

事前にオンタムで始まる旨の告知があったので、気持ち早めに会場へ。相も変わらずあんまり人はいませんでした。でも、ちょっとずつお客さんは増えていって開演時間には沢山の人で埋まってました。

 

tepPohseen

ずっと名前は知ってて気になっているバンドのひとつでした。志賀さんがドラムで入ってて、埋火のライブ以来観るので、そこも楽しみのひとつでした。

 

1曲目のインスト曲から一気に持っていかれました。退廃的で物悲しくてとても危ういメロディーに深いリヴァーブかかったヤバめなギターの音が好き過ぎました。次の曲からはボーカルもあったんですが、素っ頓狂な声と歌い方が、バンドサウンドの危うさを一層際立たせていました。その後の曲も、4つ打ちでキャッチーなもの(志賀さんメインボーカルでとても良い声)や、クリーンなギターが優しいものなど、バリエーションもしっかりありながら、全体に漂う不穏な感覚や危うさはとても癖になる。気持ち長めな40分くらいのステージでした。

 

MCはゆるゆるだったのも良かったです。帰りにCD買ってしまいました。また観たいなー!

 

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ヰタ・セクスアリス

メンバーの衣装の感じで、サウンドが大体イメージできる。艶っぽいキーボードの音とと、ときにファズファズしたギターとグルーヴィーなリズム。とても聴きやすいんだけど、ちょっと感じる違和感。「あの時代の空気はこんなのだったのかな?」と思いながらも、今のバンドとして存在していることが何だか嬉しい。そんな演奏でした。

 

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割礼

この日は90分のロングセットでした。最初の音で、割礼のそれだと分かる。シンプルなんだけど、ねっとりとした割礼の音。宍戸さんのボーカルが入ると、さらにねっとりとして、音楽を愛撫しているみたいだった。ギターやベース、ドラムが楽器を愛でるような感じで音を出している気がして、そんな風に見えるから、そこら辺のバンドでは絶対出ないような色気があるんだろうなと思ったりです。スローなテンポで紡がれる音に身を任せているときに感じる陶酔感。これが本当に気持ち良くて、本編最後の曲の無限にも聴こえたギターソロで完全に昇天してしまいました。何度も落ちそうになったり「永遠に続けこの時間」と思えるくらいの恍惚とした時間でした。

 

ロングセットじゃないと、この境地まで上り詰めることはできないと思うから、本当にありがたかったです。

 

 

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ライブが終わったら、完全に生気抜かれた状態になってました。それぞれのバンドがそれぞれ面白くて良くて、身体は疲れていたけど、心地よい疲れに変わっていました。

20180513 内橋和久 / 大阪音凪

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この日は、アルタードステイツやUAのプロデューサーとしても知られる内橋和久さんのソロライブに行ってきました。

久しぶりに観たいなと思いながら、内橋さんのサイトを見てみると、大阪でのソロがあったので、ポンと予約したのです。

 

当日はあいにくの雨模様でしたが、アーケードのある天神橋商店街を抜けて会場へ。開場時間を少し過ぎ、お店に入りました。とても小さな店なので、どの座席にいくかは非常に悩ましい。今回は内橋さんのライブが久しぶりということもあって、前でかぶりついて観ることにしてみました。通路の一部にギターと機材、ダクソフォンが置かれていました。

 

開演時間の30分程前に外に出てた内橋さんが戻ってきて、常連さんと思われる方と談笑してた。そんで、オンタイムでスタートとなりました。今回のライブは、大きく2部構成でした。

 

第1部

アンビエントテイストな深く美しいフィードバックから、ギターで紡がれた少し奇妙なリズムへと変化していきます。個人的には、深い夜の森の中にいるような、深夜の機械工場にいるような…不思議な映像が浮かんでくるものでした。そこからちょっとだけノイズパートを挟んで、ダクソフォンを加えていく。打楽器的に扱ってリズムを作り、その後に動物の鳴き声みたいな展開から徐々にギターが浮かび上がってくる様な展開へ。ギターと言ってもシンセみたいな電子音成分多めでした。そして、最後は「ギターらしい」クリーントーンで終わり。約45分くらいの演奏でした。

 

 

第2部

15分くらいの休憩を挟んでからの第2部はダクソフォンソロからスタート。人の声みたいな音でベースを作りながら、ダクソフォンを叩いて太鼓チックな音を重ね、弓を使って弦楽器のようなアプローチも。この辺は、原住民集落の夜みたいな映像が浮かんでました。約10分の演奏。

 

次のダクソフォンソロは、打楽器的なアプローチ強めで、ノリが良くて、宴のような雰囲気がありました。15分くらいだったかな。最後は少し楽しげな感じだった気がします。前半は静かだったんですが、ダクソフォンのリズムを残しながら後半に向かうにつれてギターへシフトしていって、最後はコズミックなギターサウンドが自分の身体を貫き、第1部の始めのような展開にて終了となりました。20分くらいの演奏だったか。

 

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通しでは約2時間のステージ。本当に凄かったです。使った楽器はギターとダクソフォンとエフェクター。たった1人でこんなに鮮やかで色んな音像を見せてくれるのかと唖然としてしまうくらい。ギターなんて、ギターっぽいアプローチもあったけど「それ本当にギターで出してるの?」って言いたくなるような音も飛び出しまくり。それでいて、最初から最後まで聴きやすく退屈にならなく、世界観がしっかりある演奏に脱帽でした。

 

帰り道でボーッと「内橋さんは音楽家なんやなー」と思ったりです。「この人はどんな楽器使っても(むしろ楽器じゃなくても)観客を惹き込む音楽を生み出すことができるよな」と、物販で買ったダクソフォンソロのCD見ながらしみじみ思ったのでした。

 

20180505 「二人会」(山本精一、見汐麻衣) /阿佐ヶ谷Roji

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MDTでの狂乱の宴から一夜明け、GW東京最終日は阿佐ヶ谷で開催された歌ものイベントに行ってきました。見汐麻衣さんと山本精一さんで不定期開催されている弾き語りイベント「二人会」です。

 

阿佐ヶ谷駅のすぐ側の小さなバー。気をつけて歩かないと見逃してしまいそうな路地の一角にありました。びっくりするくらい近くにあって、焦ってしまったり。今回は定員25人ということもあり、早々に売り切れ。開場待ちの人もいるかなと思って少し早めに来たんだけど、それほどでもなかったです。

 

知り合いもやってきたりで、お店の前で待っていると、階段の上の入り口から山本さんが降りてきました。「昨日、良かったです。今日も楽しみにしてます」とテンプレ的な感想を伝え、ご本人はそのままどこかへ。一瞬、もうちょっと何かなかったのか…と思ったりもしたけど、お客が伝える感想なんて「良かった」くらいで充分なんじゃないかなと思ったりでした。

 

程なくして開場。きゅうきゅうに用意された椅子席の2列目(1列目は距離が近過ぎてちょっと止めた)の隅で開演を待つことにしました。徐々にお客さんもやってきて、小さなお店は、身動きとるのも憚られるくらいのお客さんで溢れていました。

 

 

見汐麻衣

定刻になり、まずは見汐さんから。カバー、新曲、埋火の楽曲がバランスよくまとめられた約1時間の演奏でした。しっかりと芯があって、伸びやかで澄んだ歌声、ギターの音も少し聴いただけでそれと分かる。見汐さんの歌は、心が浄化される様な気がするんだよなー。んで、埋火の「溺れる魚」、「と、おもった」と聴けたのは嬉しかったところ。

 

演奏している姿はあまり見えなかったので、目を閉じて情景を浮かべたりしながら聴いてました。あと、自分は音楽に浸っているときには、天井とか見てしまう癖があるんですが、今回も見てた。ちょっと高い天井に歌が吸い込まれていく感覚が良かったです。また、ふと外の景色に目をやると、阿佐ヶ谷の商店街を行き交う人の姿が見えて、映画のワンシーンみたいで感動しました。特に何気ない日常の延長にこんなに素敵な音楽がある。そんな時間でした。

 

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山本精一

こういうシチュエーションで山本さんの弾き語りを観るのはとても久しぶり。セッティングを終え、おもむろにサングラスをかける。「今日はそういうモードなのか」と思ったんだけど、2〜3曲やって「譜面が見えない」と取ってました。

 

50分くらいの演奏でした。「水」や「飛ぶ人」といった定番曲から、羅針盤の曲、カバーがいくつかあったり。見汐さんと対照的に、非常に危うくて淡々と歌うその姿に、何故だか分からないけど感動してしまう。中でもはちみつぱいの「僕の倖せ」が聴けたのは嬉しかったです。山本さんの立体的な音像の中、少し埋もれがちな歌とも、とてもマッチしていました。

 

 

山本精一×見汐麻衣

最後はお2人によるボーナストラック。伴奏とボーカルを山本さんが、見汐さんは歌のみで5曲ほど。「ロボット」のカバーが好きでした。Phewさんバージョンのぶっきらぼうな歌い方も好きですが、見汐さんの澄んだ声と、キラキラしたギターの陶酔感が素晴らしかった。その後の「インスタントコーヒー ラグ」でそれぞれがボーカルを取っている瞬間、最後の最後の「スーダラ節」でのコブシは入りまくりな見汐さんの歌とダメダメな感じの山本さんの歌の対比がこれまた最高でした。一瞬、爆音ギターも炸裂したしね。

 

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駅の側にある商店街の路地を少し入った小さなバーで行われた「二人会」、温かな雰囲気のあるお店で行われたこのイベントは、さながら知り合いの家で開催されているような安心感があり、歌は日常のすぐ側にあるものなんだと感じたりしたイベントでした。

20180504 ROVO presents MDT Festival(ROVO、坂本慎太郎、GOMA & THE JUNGLE RHYTHM SECTION) /日比谷野外音楽堂

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毎年一度のお祭り、MDTです。今年もやってきました。まさかの坂本さんが出演とのことで、チケットも即日完売でしたが、なんとか抽選予約に当たり、参加することができました。

 

14時から物販ということもあるので、着替えを持っていない自分は、着替えの調達がてら少し早めに会場へ。ROVOや坂本さんのリハーサルの音漏れを聴きながら、これからに備えてハイボールを1缶開けたり。

 

無事、物販で着替えを購入し、会場入り口付近でブラブラと。少し早めに着いたお客さんが本当に楽しみそうに、そして静かに高揚している雰囲気。素晴らしいです。

 

で、開場→座席確保からの乾杯。開場→開演までは1時間くらいあるけど、色々食べたり飲んだり話しているとあっという間。そして、定刻になり、トップバッターのGOMA & THE JUNGLE RHYTHM SECTIONの演奏が始まりました。

 

 

GOMA & THE JUNGLE RHYTHM SECTION

まずは、バンドメンバーが出てきてからのリズムセッション。少し経ってから真っ赤なパーカーのGOMAさんが出てきました。

 

メロディー楽器ほぼゼロという中で、シンプルかつ強固なリズムのアンサンブルと、客席のテンションと興奮を煽るようなGOMAさんのディジュリドゥ。これで踊らないなんて有り得ないってくらい踊らされました。芯がしっかりあって、リズムパターンも豊富だけど分かりやすくて、本能的に踊ってしまう。

 

夕方になり、少しずつ気温も下がってくる時間帯でしたが、場内はカラッと暑く、心地よい汗と興奮を感じられる素晴らしいパフォーマンスでした。

 

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坂本慎太郎

多分、この人目当てのお客さんが相当いただろうという感じ。かくいう自分もその一人なのですが、セッティングのときに坂本さんがSG持っている姿を見ただけで泣けてきました。そして、この瞬間のみ、少し雨が降っていて、何かの暗示かと思ったり。

 

今回のバンドメンバーは、音源でも演奏されていたさん菅沼雄太さん(Dr、Cho)、AYAさん(Ba、Cho)と西内徹さん(Per、Sax、Fulte)でした。西内さんは、完全に想定外で「誰?あのおじさん!?」となってしまってました(失礼)。

 

最初、坂本さんはスティールギターで「思い出が消えてゆく」と「スーパーカルト誕生」を。熱量控えめ。さっきとは打って変わって、奇妙でいながら心地よい空気感の中でゆるゆる身体を揺らしているお客さん。その後、坂本さんはSGに持ち替え、立って演奏していました。ジャケットを着ていて、ステージ上の印象は以前と違ったものですが、リズムの取り方や独特のステップの踏み方は、以前のそれであり、とても嬉しいものでした。それから演奏された曲たちは、ハードな歪みな鳴りを潜め、ほわほわした音像で、楽しく踊ることができました。楽しく踊っているんだけど、歌詞の感じや楽曲の持つちからなのか、少しアンニュイな感覚もあったりで不思議でした。

んで、バンドメンバーの演奏ですよ。菅沼さんのドラムは、タイトというか、熱を感じさせずに自然と乾いた音だった。AYAさんは佇まいが綺麗過ぎて、美しい指の動きと、もっちりしたベースの音にうっとりとしてました。西内さんの演奏も、曲にカラフルな彩りを添えてました。

 

60分くらいかな。あっという間で夢のような時間でした。野外で聴くこともとても良かったけど、どこかカフェみたいなとこで、座って観たい、そんなステージでもありました。

 

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ROVO

やはり野音でのROVOは特別でした。セッティングが終わり、1曲目が始まった瞬間の高揚感。新曲多めで攻めのセットリストに脱帽だったし、気がついたらペットボトルの赤ワインが空になってました。新曲は2曲目が好きです。ちょっと暗くて、伸びやかなメロディーは好きしかないです。座席で酔いつぶれて倒れているお兄さんも愛おしい。夕方から夜になっていく1日のコントラスト。照明の素晴らしさ。MCや歌なんてない、ただ演奏だけで千人単位のお客さんを踊り狂わせている。音楽の気持ち良い部分がこれでもかと抽出されたステージでした。

 

細かい感想は…、泥酔してたからあんまり覚えてない。お酒の陶酔感と、お客さんの熱気に包まれながら「最高だな…」と思っているうちに終わってしまったので。

 

 

この最高の時間を過ごした後、普段なら即京都へ帰るんですが、今年は泊まりなので、打ち上げしたりして余韻に浸る時間があって楽しかったし嬉しかったです。そして、半分記憶を失くしながら寝床についたのでした。

 

また来年も行くぞ!そして、出るであろうROVOの新譜に期待です。

20180503 灰野敬二 生誕記念公演(不失者) /高円寺Show Boat

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MDTのために東京へ行く予定があり、その前日というタイミングでもあったので、この日は灰野敬二さん66歳(!?)の生誕祭での不失者ワンマンライブに行ってみました。

 

灰野さんのライブは、ソロやDJなど色々な形式で観たことはあるけど、不失者は初めてだと思います。事前の情報で、演奏時間は18:30開演で22:00終了(3時間半)とのこと。「長いな」なんてツイートしてたら、周りから「短いですね」とバッサリ切り捨てられました。

 

整理番号付きのチケットを持っていないこともあり、開演時間くらいに到着。そしたら、開場待ちの長蛇の列ができてました。そして、全然進んでいない。どうやら開場が押しているようです。さらに、しれっと開演時間が19:00に変わってました。

 

どうにか場内に入り、前方にあった椅子席のひとつに腰掛ける。場内に広がるお香の匂い。ロウソクの灯りのみのステージ。薄くかかるクラシック音楽。灰野さんらしい演出です。で、演奏が始まったのは結局19:30頃。今回のメンバーは、灰野さん(Gt、Vo、etc)、ナスノミツルさん(Ba)、Ryosuke Kiyasuさん(Dr)の3人でした。

 

まずは、灰野さんがゆっくりとギターに手をやって、弦を一振り。かなりの切れ味と、少し不穏な音色の爆音が。そして、音の余韻をしっかりと響かせ、無音の静寂が広がりました。しっかりと時間を置いて、静寂を引き裂く一振り…とこれが繰り返されました。その後、ナスノさんもベースで同じことを、Kiyasuさんもドラムで…。次第に、灰野さん→ナスノさん→Kiyasuさんと順番に音を出し、30分くらいしてた?そのまま次の曲へ。

 

そこからは正直あんまり記憶にない。3人のアンサンブルという表現では外れ過ぎているような気がする独特の「間」の演奏。ほぼ真っ暗なステージで、音だけで探り合っているような気もしたり…。ひとつひとつの音の大きさや強度が桁違いで、グッと入り込んで聴き入っていると曲が終わる。そんなことを繰り返していました。そして、場内を飲み込むような灰野さんのギターの轟音。ノイズとは少し違う、神秘的ですらある音でした。異様な程に大きな音量なのに、不快という感じは一切なくて、むしろ心地いいくらい。そんな音に包まれているうちに演奏は終了。この時点で終演予定の22時。これで終わりかなと思ったら、灰野さんから「少し休憩を挟みます」と驚愕の一言が。ボソッと言ってたので、客席も「終わりかな?」と半信半疑でしたが「休憩です」と場内アナウンスがあり、やっぱり休憩でした。

 

休憩中、タバコを吸いながら終電の時間を調べる。終電は24:15分くらい。ここからは終電との戦いになりそうです…。

 

15分程の休憩を挟んで第2部がスタートしました。

 

第2部は比較的ロック成分多めだった印象でした。また、灰野さんがフルートを弾く場面があったりと変化があって面白かったです。けっこう「曲」としてカチッとしたものが多かったような気がしました。そんな気持ちで浸って1時間半くらい。あっという間の1時間半が終わってしまいました。そして、アンコール。これまでの暗い中での演奏ではなく、照明を点けて激しめの演奏で数分間。これはこれで面白いものでした。

 

全部が終わったのは23:45分くらい。がっつり4時間の演奏でした。速弾きがある訳でもないし、分かりやすく激しいアドリブセッションがある訳でもない。独特の「間」と圧倒的な音、ロックだしノイズだけど、どこにもない不失者だけの音がありました。静寂から轟音まで、音楽のすべてが詰まっていそうな…そんな感じ。

 

終演後は、終電がヤバかったので、そそくさと会場を後にしました。4時間のライブで満身創痍で真っ直ぐ歩けなくなった帰り道、「灰野さんは人間じゃなくて、灰野敬二って生き物なのでは?」そんなことをぼんやり思いながら、心地よいぐったり感を引きずって電車に乗り込みました。

20180429 〈daub vol.7〉(いかんせん花おこし+高橋幾郎(ex.不失者/LSD March)、INDIAN NO ECHO SIGN BINE NO!、馬車馬) /難波ベアーズ

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出演者のメンツが非常に面白い方ばかりだったので、どうしようか悩んでいたんですが、やっぱり行ってしまいました。

 

「そんなに急いで行かなくても大丈夫だろう」とタカをくくって行ったら、開演時間になってもほとんど誰もいない。いつものベアーズでした。それでも、ライブが始まって気がつくと結構なお客さんが入っているから面白いですよね。この日もそんな感じでした。

 

馬車馬

ワッツーシゾンビやB玉でドラム叩いてるセイヤさんのデュオ。ずっと気になっていて、観たかったのです。ステージ右手にドラムセット、左手にギターとアンプが4台ほど。何となく、音楽のスタイルは想像できました。「ループを駆使した爆音ギターにドラムなんやろな」と想像してた感じのスタイルだったけど、爆音具合やエネルギーが想像を遥かに超えるもので、ぶったまげました。

 

セイヤさんのドラムは、他のバンドで観るよりも野蛮で殺気立ってたし、前に出てきているからか、ドラムセットから飛び出しそうなくらいの叩きっぷりで、本当に凄かったです。んで、ギターは、リフが好みのタイプやって、ずっと聴いていたいという気持ちもありました。こういうバンドってリフがダサいと全部ダメになるんよな。

 

また観たい…ってか、観に行きます。

  

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INDIAN NO ECHO SIGN BINE NO!

何度か観たことはある。ドラム、ベースorギター、ヴァイオリン・ヴォーカルという少し変わった編成。少しトラッドで、どこか懐かしいようでそうでもない独特の音像がとても魅力的。個人的には、少しざらついたヴァイオリンの音に、気持ちがざわつかされます。

 

 

 

いかんせん花おこし+高橋幾郎(ex.不失者/LSD March)

もしかしたら、昨年末UFOクラブで観て以来かも。今回は、ドラムに高橋幾郎さんを迎えてのベースレス3人編成でした。

 

かなりサイケで、歌が、景色が見えてとても良い演奏でした。ずっと3人の世界に浸ってしまっていた。こういう歌もののバンドは、ボーカルなんだけど、長濱さんの声は、少し丸みがありながら必要以上の熱が無くて好みです。んで、高橋さんのドラムともマッチしてたなー。

 

高橋さんのドラムは、ドチャッとしたスネアの音がとても良かったし、歌にもとてもマッチしてた。いかんせん花おこしの音は、もうちょっと軽い印象があったんだけど、ドラムが変わると全体の印象がこうまで変わるのかと関心しきりでした。アンコールの即興も面白かったです。

 

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フラッと来てみたイベントだったけど、どのバンドもそれぞれ良くて、満足でした。

20180428 PHEW「Voice hardcore」発売記念ライブ

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この日はPHEWさんの新作「Voice Hardcore」の発売記念ライブに行ってきました。久しぶりに外へ行けるのもけっこう楽しみでした。

 

「ちょっと早く着いてしまうな…」と思いながら、阪急乗っていたら、東京から同じライブを観るためにこちらに来ていた知り合いの方から連絡があってご一緒することに。少しご飯食べたり、ホホホ座行ったりしてました。

 

前日に立ち見になることなどが記されたメールがきて、沢山の来場者があるということがアナウンスされていただけあって、開場待ちの列ができてました。外で開場待ちがあったのは初めてで凄くびっくりした。開演直前になり、気がつけば沢山のお客さんで埋め尽くされていました。

 

 

空間現代
約40分の演奏でした。一度仕上がった曲のパーツを解体・再編集したようなサウンド。ギリギリ破壌しないくらいの絶妙なバランスが本当に素晴らしかったです。各パートがバラバラになってそうなんだけど、アンサンブルとして成立してる。ひとつひとつの音の強度も凄くて、身体にしっかりと喰い込んできました。聴いている身としては、どの音に寄りかかっていいのかと迷う瞬間もあったり、ドラム、ギター、ベース、各パートに預ける耳を移すことで自分の身体の反応が違ったりして面白かったです。後は、バスドラが4つ打ちになった瞬間に、凄い安定感があり、ウワモノパートがどれだけズレても自然にリズムを取ってしまったりで、4つ打ちの呪縛みたいのを感じてしまったりしてました。

 

もう、あれしかできないというバンドの凄さと尊さを感じた演奏でした。

 

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PHEW
機材セッティングに少し時間がかかってしまった感じですが、トラブルにまでなることなく演奏が始まりました。ステージ上には、Macとフェーダーみたいの、カシオレーターや少しのエフェクターという感じ。ピンマイク(だと思う)とハンドマイクに機材を繋げて、声を操作しているようでした。

 

約60分くらいの演奏でしたが、とんでもなかったです。PHEWさんの「声」が会場を駆け回ったり、生まれ、広がっていき、最後は減退して闇の中に消えていったり…。歌詞のあるところでは、そのシンプルだけど突き刺さる歌詞が意識の奥にこびりついてくる感覚があって、言葉に襲われているような恐怖感すらありました。そんな恐ろしい感覚の裏には、真っ白で包みこまれるような安心感もあったり。この感じは、今まで味わったことないもので、とにかくヤバかったです。

 

アンコールはなし。必要なかった。そして、できることならサラウンドでこの声に囲まれる感覚を体感してみたかったです…。

 

phewjapan.bandcamp.com

 

 

凄い夜でした…。